小学校のころ、誰もいない教室で、好きな女の子のリコーダーをこっそりと舐めた――。こんな驚愕するような話を小耳に挟んだことはないだろうか。
嘘か本当かわからないが、大人になってから、笑い話として打ち明ける人も少なくない。弁護士ドットコムにも「刑事罰に問われる可能性」についてたずねる相談が寄せられている。
淡い好意を抱きつつも、交際を申し込む勇気やきっかけもない。一種の「はけ口」のようなものだったかもしれないが、こうした行為がバレた場合、罪に問われるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●器物損害罪にあたる可能性も
「なかなか…何とも言えないケースですね…。あえて法律という観点から簡単な解説をします」
西口弁護士は少し当惑しながら、法的なコメントを加える。
「まず、相手の承諾なしに(ふつう承諾はないと思います)、リコーダーを舐めた場合、器物損壊罪にあたる可能性があります(刑法261条)。
ここでいう『損壊』とは、物理的な破壊に限らず、『物の効用を害する』一切の行為を含みます。過去の裁判例では、飲食店の食器に放尿する行為が損壊にあたるとされています。
リコーダーを舐めるという行為は、唾液をつけるという点で、『物の効用を害する』といえる可能性がありますので、この犯罪にあたると思います。ただし、被害が少ないので、違法性が認められるかは難しいところですね・・・」
仮に違法性が認められたとして、小学生も罪に問われるのだろうか。
「14歳未満の年少者の責任能力が否定されています(刑法41条)。そのため、小学生の場合、刑事的には不問ということになります。
ただし、児童相談所に通告される場合がありますので、まったく不問にふされるわけではありません。いずれにせよ人の嫌がる行為はしたくないですね」