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テレビ局のバラエティ収録でセクハラ、女性フリーアナが法廷で訴え「人生を賭けて提訴」
あいテレビ(グーグルストリートビューから)

テレビ局のバラエティ収録でセクハラ、女性フリーアナが法廷で訴え「人生を賭けて提訴」

バラエティ番組の収録中に男性共演者からセクハラ行為を受けたのに局側が防がなかったとして、フリーアナウンサーの女性が、TBS系列局「あいテレビ」(愛媛県松山市)に慰謝料など計約4100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10月3日、東京地裁(吉川泉裁判長)で開かれた。

原告の女性は法廷で意見陳述し「逃げ場のない状況で、唐突に性加害を受け、見せ物のように嘲笑され、それを公にさらされる耐えがたい体験は、決して忘れられるものではありません」とうったえた。

●PTSDを伴う重度の「うつ」と診断

訴状などによると、このバラエティ番組は2016年4月から2022年3月まで放送されていた。進行役をつとめた女性は、飲酒した有名芸能人や僧侶から性的な発言やわいせつな行為を受けたが、局側は容認していたと主張している。

その結果、女性はPTSDを含む重度の「うつ」と診断され、現在も働くことができていないという。放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てたものの、人権侵害は認定されなかった。今年6月、女性は「局に安全配慮義務違反があった」として提訴に踏み切った。

●「私のような経験をしている人がたくさんいます」

この日の意見陳述では、フリーアナの女性は遮蔽措置のもと傍聴席から姿は見えなかったが、時折声を詰まらせ涙声になりつつも、はっきりした声で自身が受けたという被害体験を語った。

「番組収録の場や放送において、労働者としての人権が守られることなく、男性出演者やスタッフから繰り返し執拗なセクシュアルハラスメントを受け、心と体を病み番組を降板しました。狭く閉鎖された場所で、男性ばかりの出演者とスタッフらに囲まれ、逃げ場のない状況で、唐突に性加害を受け、見せ物のように嘲笑され、それを公にさらされる耐えがたい体験は、決して忘れられるものではありません」

さらに、業界全体の問題にも言及した。

「メディア・エンターテインメント業界には、私のような経験をしている人がたくさんいます。選ばれなければ仕事が得られないというプレッシャーに常にさらされた弱い立場で、仕事を続けるために口を閉ざすことを強いられている人が、本当にたくさんいます。いい加減にこんなことが続くことがないように、私は人生を賭けて提訴する覚悟を決めました」

あいテレビに問い合わせたが、担当者不在だった。

(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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