ミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得したフィギュアスケートのペア「りくりゅう」こと、三浦璃来さんと木原龍一さんが8月23日、SNSで婚約したことを発表しました。
芸能人やスポーツ選手が「結婚」を発表することは珍しくありませんが、今回の「りくりゅう」ペアが公表したのは、その一歩手前といえる「婚約」です。
そもそも「結婚」や、一般に使われる「入籍」と「婚約」には、どんな違いがあるのでしょうか。婚約した時点で、二人の間に何らかの法的な権利や義務は生じるのでしょうか。
●「結婚」と「入籍」は同じ?
法律上の「結婚」(婚姻)が有効に成立するためには、当事者間に「真に夫婦となる意思(婚姻意思)」があることが必要とされています。
そのうえで、民法739条にもとづく婚姻届を提出することによって、婚姻の効力が生じます。
一般には、婚姻届を提出して法律上の夫婦になることを「入籍」と表現することがあります。
婚姻届は、当事者双方と成年の証人2人以上が署名した書面か口頭で届け出る必要があります。
婚姻が成立すると、現行法では、夫婦は夫または妻の氏を称することになり、同居して、互いに協力・扶助する義務を負います。さらに相続などについても配偶者としての権利が生じます。
●「婚約」は民法に直接の規定なし
これに対して「婚約」については、民法に直接の規定がありません。
判例・学説上は「将来婚姻をしようという当事者間の合意」と定義されています。結納(ゆいのう)や婚約指輪の交換、家族へのあいさつといった特定の形式がなければ成立しないものではありません。
●婚約しても「結婚しなければならない」わけではない
では、婚約すると、必ず結婚しなければならないのでしょうか。
婚約が成立していたとしても、相手に「結婚を強制する」権利までは認められていません。
婚姻は、当事者の自由な意思によって成立するものであり、履行を強制することはなじまないためです。
一方、正当な理由なく一方的に婚約を破棄した場合には、不法行為(民法709条)や債務不履行(民法415条)を理由として、慰謝料などの損害賠償が認められることがあります。
●「婚約」と「法律婚」では何が違う?
このように、婚約は民法に明文で定められた制度ではありませんが、裁判例では「婚姻予約」として扱われ、不当な破棄に対して損害賠償を認めるなど、一定の法的保護が与えられてきました。
ただし、婚姻届を提出して法律上の夫婦になった場合とは、法的な効果が大きく異なります。
法律婚では、夫婦の氏や同居・協力・扶助義務、相続権など、さまざまな権利義務が発生します。
一方、婚約しただけでは、こうした法律上の配偶者としての地位がそのまま与えられるわけではありません。
婚約はいわば法律婚に向けた一つの段階であり、婚姻届を提出するかどうかによって、法的な権利義務は大きく変わることになります。