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女性アナと不倫疑惑、静岡新聞の社長が「代表取締役顧問」に…実質は何も変わらない?
社長をやめても「代表取締役」のまま

女性アナと不倫疑惑、静岡新聞の社長が「代表取締役顧問」に…実質は何も変わらない?

静岡新聞と静岡放送は3月9日、両社の経営にあたっていた大石剛社長が同日付で両社の社長を辞任したと発表した。大石氏は今後、静岡新聞では「代表取締役顧問」、静岡放送では「非常勤取締役」にそれぞれ就任する。

大石氏をめぐっては、写真週刊誌「FRIDAY」(2021年3月19日号)で、静岡放送の女性アナウンサーとのダブル不倫疑惑が報じられていた。

社長を辞任したとはいえ、静岡新聞の「代表取締役」ではあり続ける大石氏に対して、ネットでは「何も変わらないのでは?」という声もあがる。法的にはどのような位置付けにあるのか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●社長や顧問「肩書きに法的な意味や根拠はない」

ーー「社長」から「代表取締役顧問」という肩書きに変わったことで、組織における大石氏の法的な位置付けに変化はあるのでしょうか。

一般的な印象としては、「社長」は会社の代表者であり、「顧問」は専門的な知識や経験をもって、企業経営の補佐や指導に当たる、若干引いた立場とみられているのではないでしょうか。

しかし、実は「社長」や「顧問」という呼び名は、それぞれの会社内における職制にすぎず、地位や名称に法的な意味や根拠はありません。

これに対して、「代表取締役」には会社法上の根拠があります。代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有します(会社法349条4項)。

取締役会設置会社を除く株式会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができます(会社法349条3項)。

また、取締役会設置会社においては、取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならないと規定されています(会社法362条3項)。

● 何のための名称変更?

社長はやめても 社長はやめても

「代表取締役」として強力な権力を持ち続ける以上、組織内における発言力に影響はなさそうです。今回「代表取締役顧問」という肩書きに変えたことについて、どのような狙いがあったと考えられますか

「顧問」という呼び名からは、若干引いた印象を受けると書きましたが、会社法上の「代表取締役」であるわけですから、いわゆる「内部顧問」として実質的な経営にがっつり携わっていくことになりそうです。

今回の報道を受け、ネット上には「何らかの対処をしたというフリをするための目眩し」といった指摘もあるようですが、わたし自身も取締役会の狙いとしてはその点に尽きるのだろうと思います。

プロフィール

濵門 俊也
濵門 俊也(はまかど としや)弁護士 東京新生法律事務所
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。

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