うつ病で休職したあと、復職を拒否されて、そのまま退職あつかいとなったのは不当だとして、千葉県在住の女性が10月11日、マニュライフ生命(東京・新宿)を相手取り、雇用契約上の地位確認と未払い賃金をもとめて、東京地裁に提訴した。
訴状などによると、原告の吉田晶子さん(49)は2016年10月、社内向け広報のマネジャー(正社員)として、マニュライフ生命に入社した。直後から、上司による理不尽な叱責や会議でのつるしあげなどのパワハラにあったという。2018年5月、「うつ病」の診断を受けて、休職することになった。
吉田さんは2018年11月、主治医から「ストレス要因となった職場環境の調整(異動など)が必要だが、職場に復帰できる」という内容の診断を受けて、復職を願い出たが、会社側は「環境調整できるポジションがなく、ほかの部門で空きができるまで休んでもらう」と拒否したという。
その後も、会社側は、復職を拒否しつづけて、2019年4月末をもって、休職期間満了として、吉田さんを退職あつかいとした。吉田さん側は、職場の環境の調整をはかることなく、異動・配転について具体的な検討・提案もないまま、復職をみとめなかったのは、正当な理由がないと主張している。
●会社側はパワハラを否定
原告代理人の今泉義竜弁護士によると、会社側は、吉田さんに対するパワハラを否定しているという。今泉弁護士は、提訴後の記者会見で「ハラスメントの立証にかかわらず、会社は職場で心身に不調をきたした労働者に対して、十分な配慮・環境整備をすべきだ」と述べた。
マニュライフ生命の広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの電話取材に対して、「本日の時点で、訴状を受け取っていないため、コメントを差し控えたい」と回答した。