会社の役員と一部の従業員が、キャバクラで遊んだ金を経費として計上している。経理上問題はないのかーー。弁護士ドットコムの姉妹サイト・税理士ドットコムの税務相談コーナーに、とある従業員からの相談が寄せられた。
相談者によると、勤務先で、役員と一部の従業員がキャバクラ代を経費として計上していることが発覚し、社内がもめているのだという。役員は「経理や税務上は、社内飲食費として計上する」と言っているそうだ。しかし相談者は、「費用も高額なため、いかがなものかと思う」と、キャバクラで遊んだ金を経費として会社が負担することに納得できないという。
一部の役員や従業員が遊んだキャバクラ代を経費として計上することに、問題はないのだろうか。もし問題がある場合、キャバクラ代を返済させることはできるのだろうか。髙田英治弁護士に聞いた。
●キャバクラ代は経費?
「一般論としては、役員や従業員が不当に高額なキャバクラ代を経費として計上していた場合、会社は、不当利得としてキャバクラ代の返済を要求することや、損害賠償を請求できる可能性があります。
なぜなら、役員や従業員が使ったキャバクラ代が、会社との契約上、社内飲食費として認められる範囲を明らかに超えていれば、その役員や従業員は、キャバクラ代を使ったことにより、法律上の理由がないのに利益を得たと判断されたり、会社に損害を与えたと判断されるからです」
髙田弁護士はこのように述べる。
「しかし、実際には、キャバクラ代を経費として計上した役員や従業員から、その返済をしてもらうことは難しい場合が多いと思います。
なぜなら、どんな費用が経費となるかについての社内ルールなどが存在しない限り、どこまでが経費として許容される範囲かを客観的に区別することは難しいからです。
したがって、今回のようなケースで、役員や従業員に対して、キャバクラ代の返済を求めるためには、あらかじめ社内規定で社内飲食費の上限を決めておくなど、明確なルールを整備しておくことがとても重要です」
しかし、あらかじめ社内ルールを決めていたとしても、絶対に返済させられるわけではないようだ。
「社内規定を整備している場合でも、一旦、会社が経費として計上することを認めてしまった場合、後になってから返済を求めることは難しいでしょう。このような場合、会社は、キャバクラ代を経費として計上することを事後的に許容したと判断される可能性が高いためです。