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「正社員よりも働いているのに…」東京メトロ売店の契約社員「格差是正」訴訟で敗訴
原告の女性(左の2人)と滝沢香弁護士(左から3人目)

「正社員よりも働いているのに…」東京メトロ売店の契約社員「格差是正」訴訟で敗訴

東京メトロ(地下鉄)の売店で働く契約社員ら4人が「同一労働同一賃金」を求め、売店を運営する東京メトロのグループ会社「メトロコマース」を相手に、正社員との本給や賞与、退職金の差額など、計約4560万円の損害賠償を求めていた裁判の判決が3月23日、東京地裁であった。吉田徹裁判長は、残業代など4109円を除き、原告の請求を棄却した。原告は控訴する方針。

原告の4人は品物の発注や接客など、正社員とほぼ同じ仕事内容だったと訴えたが、裁判所は、売店業務に従事する正社員は少数だと認定。また、売店業務の正社員についても、エリアマネージャーについたり、配置転換・職種転換を受けたりする可能性があるとして、契約社員とは大きな違いがあるとした。また、住宅手当や退職金などの格差についても、優秀な人材の獲得・定着を図る手段として、「人事施策上相応の合理性を有する」と判断した。

「改正労働契約法」では、契約社員など、雇用期間が決まっている有期雇用を理由に、不合理な労働条件の格差を設けることを禁じている。4人はこの規定を根拠に2014年5月、会社を提訴していた。

判決後の記者会見で、原告側代理人の滝沢香弁護士は、正社員が住居の移転を伴うような異動を命じられたり、他の仕事へ配転されたりする実態が、ほとんどなかったことを実証してきたとして、「判決は『可能性がある』ということだけで請求を棄却した。国をあげて、非正規雇用と正社員の格差是正を議論しているのに、逆行する判決だ」と批判した。

原告側の資料によると、売店業務に関わらず、メトロコマースの正社員の所定労働時間は1日7時間50分。対する契約社員は8時間とされている。原告の1人は「正社員と約11年、一緒に働いてきた。社員は我々よりも勤務時間が短いのに、賞与は3倍以上、退職金、手当もたくさん出る。同じ仕事のはずなのにおかしい」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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