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プリンスさん遺産に親族?700人が名乗り…もし日本だった場合の相続ルール
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プリンスさん遺産に親族?700人が名乗り…もし日本だった場合の相続ルール

今年4月に急逝したアメリカの伝説的歌手、プリンスさん。その遺産は、3億ドル(約328億円)とも10億ドル(約1100億円)ともいわれている。莫大な遺産をめぐって、なんと700人が「相続する権利がある」と名乗り出ているのだという。

報道によると、プリンスさんは結婚歴があるが、晩年は独身で子どももいなかった。両親はすでに他界しており、遺書も残していなかった。プリンスさんの遺産は、実の妹であるタイカ・ネルソンさんが相続する可能性が高いとされていたが、ほかにも5人の異父母兄弟がいることがわかっているという。

さらに、プリンスさんの血縁関係を調査する団体のもとに、「家族の写真にプリンスさんが写っている」とか「同じ地区に暮らしていた」といった理由などで、親族関係にあたると主張する電話が多数寄せられている。そのなかには、「プリンスさんの子どもだ」と名乗る人物も含まれているそうだ。

プリンスさんの莫大な遺産をめぐっては、今後、一波乱も二波乱もありそうな様相を呈してきている。もちろん、遺産の分配はアメリカの法律で決まるが、もし日本の法律だったらどうなるのだろうか。たとえば、異父母兄弟にも相続する権利はあるのだろうか。加藤尚憲弁護士に聞いた。

●「血族相続人」には順位がある

「日本の民法では、相続人となる資格がある人は、(1)『配偶者相続人』、(2)『血族相続人』(血のつながりがある人)の2つのカテゴリーに分かれます。

このうち(1)配偶者相続人は、常に相続人になります。一方、(2)血族相続人には順位があります。

加藤弁護士はこのように述べる。血族相続人にはどのような順位があるのだろうか。

「第1順位は、子や孫、ひ孫などの『直系卑属』と呼ばれる人たちです。まず、被相続人の子は、無条件に相続人になる資格があります。

これに対して、孫は、本来相続人になるはずの子(Aさん)が、被相続人より先に亡くなった場合だけ、Aさんの子が、Aさんに代わって相続人になります。ひ孫についても同様です。

第2順位は、父母や祖父母などの『直系尊属』と呼ばれる人たちです。相続が発生したときに、通常は、父母や祖父母など、上の世代の人たちがすでに亡くなっていることが多いので、実際は直系尊属が相続人になることは非常に稀です。

第3順位は、兄弟姉妹です。父や母の一方が異なる兄弟姉妹(=半血兄弟)も、兄弟姉妹であることに変わりはないので、相続人となる資格があります。

なお、兄弟姉妹が、被相続人よりも先に亡くなっている場合、その子(被相続人から見ておい・めい)が、相続人になるはずだった兄弟姉妹に代わって相続人になります。

このように、血族相続人には順位があるため、第2順位や第3順位の人が相続人になる資格を得るのは、上の順位の人が誰もいない場合に限られます。

たとえば、兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子や孫が1人もおらず、父や母が先に亡くなっているときに限られます」

●半血兄弟の相続分は「半分」になる

それでは、異父母兄弟であっても、ほかの兄弟と全く同じような取扱いを受けるのだろうか。

相続できる財産の割合が異なります。兄弟姉妹が複数いる場合、半血兄弟の相続分は、父と母の双方を同じくする兄弟姉妹(=全血兄弟)の半分になります」

亡くなったプリンスさんのケースはどうなるのだろうか。

「海外のニュースサイトによると、プリンスさんが最後に住んでいたミネソタ州の法律では、全血兄弟と半血兄弟は平等に扱われることになっているようです。つまり、日本とはルールが異なるみたいですね。

また、兄弟の孫も相続人になる資格があるということなので、この点も日本とは異なります。海外の話ですが、興味が尽きません」

加藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

加藤 尚憲
加藤 尚憲(かとう なおのり)弁護士 東京西法律事務所
東京大学卒、弁護士・ニューヨーク州弁護士 弁護士ドットコム上で半年間に約500件の相続の質問に回答し、ベストアンサー率1位を獲得。「首都圏版 2016年▶2017年 みんなの弁護士207人」(南々社出版)相続部門 掲載 事務所はJR中央線・丸ノ内線荻窪駅北口から徒歩2分 相続総合情報サイト「わかる相続」:http://わかる相続.com/ 「わかる相続」公式ブログ:http://wakarusouzoku.blogspot.jp/

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