友だちと街を歩いていたら、スカウトに声をかけられて、そのままアイドルデビュー!? きらびやかな芸能界に憧れる女性は昔も今も少なくないが、そんな彼女たちの立場につけこむ「悪い大人」が潜んでいるのかもしれない。
ニュースサイト『日刊SPA!』が9月に掲載した記事では、Kカップのグラビアアイドル、吉沢さりぃさんの次のような体験談が紹介されていた。
吉沢さんは3年ほど前、芸能事務所に所属しないフリーだったころ、新宿・歌舞伎町でスカウトマンから、ある事務所の社長を紹介されたという。そのとき、DVD出演や海外ロケの話題などで盛りあがった。
ところが、後日、契約の話をするということで呼び出されると、スカウトマンの口から「社長がホテルで待っている」「(契約は)社長と1回寝てからだよ」「それでOKが出たら所属」という驚くべき言葉を告げられたというのだ。吉沢さんはその場でキッパリと断ったそうだ。
このように、性的な関係を結ぶことが所属するための条件となるのは、法的に問題ないのだろうか。また、身体を許したにも関わらず、「NG」とされた場合、女性は泣き寝入りするしかないのだろうか。岡田崇弁護士に聞いた。
●セクハラの一種として「不法行為」にあたる
「芸能界に憧れる人は多いので、なかなか難しいことかもしれませんが、もし仮に事務所に所属するためとして、性的な関係を結ぶよう求められたら、吉沢さんと同様に、キッパリと断るべきでしょう」
岡田弁護士はこう切り出した。もし断り切れず、性的な関係を結んだ場合はどうなのだろうか。
「女性の弱い立場につけこんでいるので、セクハラの一種として、『不法行為』にあたるでしょう。女性は社長や事務所に対して、損害賠償を請求することができます。
ただ、社長の行為については、女性が自分で証明しなければなりません。したがって、実際に裁判を起こすとなると、かなりハードルが高いことになるかもしれません」
もし、身体を許したにも関わらず、事務所に入れてもらえなかった場合、女性は「所属させろ」と求めることができるのだろうか。
「契約については、その詳細が決まっていない以上、事務所への所属を強制することは難しいと考えます」
では、何らかの犯罪にあたるなど、刑法上の問題はないのだろうか。
「原則として、刑法上の問題にはならないと思います。
もっとも、強引に押し倒されたり、暴力を振るわれるなどして、性的関係を強いられた場合は、強姦罪や強制わいせつ罪が成立することになるでしょう。
また、女性が18歳未満であれば、児童買春・児童ポルノ防止法や児童福祉法に違反する可能性があります」
岡田弁護士はこのように述べていた。