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新妻は「自宅内ストーカー」 夫の飲み会に同席、浮気を疑いGPSで居場所チェック
写真はイメージです(Ushico / PIXTA)

新妻は「自宅内ストーカー」 夫の飲み会に同席、浮気を疑いGPSで居場所チェック

「妻からの束縛が酷くて離婚したい」。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者の男性と妻は40代で結婚半年になります。妻は毎日決まった時間にスマホのGPS機能で居場所をチェック。帰宅後には、男性のスマホの通話履歴やメール、SNSの書き込みなどを確認し、友人などの飲み会までついてきます。

男性がスマホにロックをかけたり、「止めて欲しい」と伝えると、妻は尋常ではなく怒り、更にエスカレートします。男性は「不倫後の再婚なので、浮気を疑っているのはわかりますが、精神的に限界です。ストーカーが家にいるみたいで鬱になりそうです」と打ち明けます。

男性は「合意してもらえそうにない」と言いますが、妻と離婚できるのでしょうか。

●「夫婦関係破綻」の1つの事情として考慮されることも

夫婦2人の話し合いにより合意すれば、どんな理由であっても離婚することは可能です(協議離婚)。しかし、協議離婚できなかった場合には、裁判所での調停、裁判へと進むことになります。この場合は、法律(民法770条1項)が定める離婚理由が必要となります。

民法770条が定める離婚事由は、(1)不貞行為 (2)悪意の遺棄 (3)生死が3年以上、明らかでないとき (4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5つです。

今回のケースは、(1)から(4)にはあたらないでしょう。しかし、「(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と判断されれば、離婚が認められる場合があります。

ただし、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるか否かの判断はケースバイケースです。判断にあたり、裁判所はさまざまな事情を総合考慮します。

そして、夫婦関係が破綻し、回復が困難であり、これ以上は結婚生活を続けていくことが難しいと判断された場合に、離婚が認められることになります。

小田紗織弁護士によると、誰でも手軽に録音、録画やGPS機能を利用できるようになってきたせいか、最近は配偶者からの束縛に関する相談が増えているようです。妻の極度の束縛を理由に離婚することはできるのでしょうか。

「妻の束縛が夫の職業人、社会人としての立場や生活への配慮に欠けるほどひどいものであれば、もはや正常な夫婦関係、婚姻共同生活とはいえず、夫婦関係破綻の1つの事情として考慮されることはあります。ただ、訴訟では、その束縛の状況を証明しなければならないため、証拠の確保が難しいかもしれません」(小田弁護士)。

プロフィール

小田 紗織
小田 紗織(おだ さおり)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。

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