東京ディズニーリゾートが直営するホテルが、同性のカップルによる、両者とも新郎用または新婦用の衣装を着用した挙式を認める方針となったことが報じられた。これまでは同性のカップルによる挙式の場合、新郎用と新婦用の組み合わせで衣装を着用することが要請されていたが、両者とも自身の性別に合った衣装で挙式をしたいというニーズに応えた格好だ。
今回の東京ディズニーリゾートの方針は他のホテルや式場にも影響を与える可能性があるが、本来、同性のカップルによる挙式は法的にどのような範囲まで認められるのだろうか。
日本では法律上、同性婚は認められていないが、結婚することと挙式を行なうことは別物であり、同性のカップルによる挙式そのものは法律で禁じられているわけではない。しかし、ホテルや式場から新郎用と新婦用の組み合わせで衣装を着用することが要請された場合、そもそもの挙式の目的からすれば大きな制限を受けることになるといえる。
結婚にまつわる法律問題に詳しい梅村正和弁護士に話を聞いた。
「イスラム法国のように宗教上の教典が正式な法律として扱われている国々では、同性のカップルによる婚姻が違法行為になる国が存在します。しかし、日本では戸籍上夫婦になることができないということを除けば、同性のカップルということだけでは違法ではありません。」
「同性のカップルで挙式を行なう姿が公然わいせつ罪にあたるような場合には同罪になり得ますが、現在の日本で同性のカップルの挙式行為をわいせつ行為であると考える社会認識は極めて薄いので、衣装の自由などはほぼ無制限に認められるといえるでしょう。」
「ただし、ホテルや式場で挙式を行うということは、一つの契約なので、ホテルや式場も一般の契約の場合と同様に、契約をするかしないかを決定する自由(「契約自由の原則」といいます)があります。したがって、ホテルや式場に同性のカップルによる挙式の際の衣装などを制限された場合、その制限に対抗しようとしても、ホテルや式場がそういう客とは契約しないという選択をすると、結局、そのホテルや式場を利用できないということになります。」
「例外的に、式場が公営の場合、同性のカップルによる挙式を拒否することは差別だから憲法違反といえないかという問題があります。この場合、挙式を拒否することが差別といえるのか、差別といえるとしても合理的な差別として許容されるのかという微妙な問題があります。最終的には社会通念が決めるということになるでしょう。ただ、お目出たい挙式について裁判で争ってまで公営の式場で式を挙げようとするカップルは少ないかもしれません。」
ということで、現状ではホテルや式場から衣装などを制限された場合には、有効な対抗手段はないという結論になってしまうようだ。
ただし、同姓婚についてアメリカではオバマ大統領が同性婚を支持する立場を表明し、大きな話題となっている。
今後日本でも同性婚について広く社会的な議論がなされことによって、例え法改正がなくとも、同性のカップルによる挙式で自由な衣装着用を認めるホテルや式場が増える可能性は充分ありそうだ。