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「家族写真つき年賀状」で夫の不倫相手に復讐したい!  妻の執念、法的に大丈夫?
画像はイメージです(koumaru/PIXTA)

「家族写真つき年賀状」で夫の不倫相手に復讐したい!  妻の執念、法的に大丈夫?

2023年の年賀状は、どんな人に送りましたか。弁護士ドットコムには「夫の不倫相手の実家に、家族写真の入った年賀状を送るのはまずいでしょうか」という相談が寄せられています。

相談者の夫は、不倫して家に帰ってこなくなり、実家住まいだった不倫相手と新居で暮らし始めました。一方の相談者は、不倫相手に慰謝料請求調停をしていますが、「お金を払う必要はない」などと反論されている状態だといいます。

しかも、不倫相手は、不倫の事実を隠したまま、以前同居していた自分の親にも相談者の夫を紹介しているそうです。

「全て隠して(不倫相手の)親にも紹介して同棲している2人が許せません」と語る相談者。不倫相手の実家に家族写真入りの年賀状を送って「何も知らない親に気づかせてやりたい」と話していますが、法的にはどう考えられるのでしょうか。長瀬佑志弁護士に聞きました。

●家族に知らせる「正当な理由」があるか?

——仮に不倫相手の女性の親が不倫であると知らない場合、年賀状を送って親に不倫だと気づかせることは、何らかの法的問題があるのでしょうか。

不倫は他者には知られたくない事実ですので、不倫相手の女性の親が不倫であると知らない場合、年賀状を送って親に不倫だと気づかせることは、不倫相手に対する名誉毀損や不法行為に該当し、損害賠償責任を負うおそれがあります。

この点、参考となる裁判例として、東京地裁平成26年5月14日判決があります。

この裁判例では、夫に不貞行為をされた妻が、不貞相手の女性の母に対し、不貞の事実を告げたことが不法行為に該当するかどうかが争点となりました。

この裁判例は、「原告が、被告の母に対し、被告が不貞行為をしていると告げたことは、原告が被告に対し、不貞行為について抗議した後も、偽名で連絡を取り合っていた状況(中略)からすると、違法行為を止めさせるための正当行為といえる」として、違法ではないと判断しました。

この裁判例では、不貞相手の母に知らせる正当な事由があるとして違法ではないと判断されましたが、正当な事由がないと判断されれば、不貞相手に対する不法行為責任の成立が認められうることは否定されていません。

今回の相談事例においても、不倫相手に対する名誉毀損や不法行為に該当し、損害賠償責任を負うおそれがある以上、年賀状を送って親に不倫だと気づかせることは避けるべきでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

長瀬 佑志
長瀬 佑志(ながせ ゆうし)弁護士 弁護士法人長瀬総合法律事務所
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか

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