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不倫隠して離婚後、相手女性が「やっぱり元夫にバラして慰謝料請求させる」 支払わないとダメ?
写真はイメージです(jessie / PIXTA)

不倫隠して離婚後、相手女性が「やっぱり元夫にバラして慰謝料請求させる」 支払わないとダメ?

不倫は関係が終わった後も、ドロドロが続くことがあるようです。不倫関係にあった女性から「元夫に慰謝料請求させる」と言われて困っている男性が、弁護士ドットコムに質問を寄せました。

相談者とその女性は、かつてW不倫をしていました。女性は夫に不倫がバレ、離婚することになりました。その際、女性は「不貞行為はなかった」と主張し、さらに元夫も証拠を示せなかったことから、慰謝料の請求はしないと取り決めて離婚したそうです。

子どもの親権は元夫にあり、女性は子どもの養育費を月2万円支払っています。

2人は元夫にバレたことから、別れることになりました。男性は「こんな関係は良くなかった」とお互いに納得した上で不倫関係を終わらせたつもりだったといいます。

しかし、女性は離婚した後に「あなたは経済的な負担はなかったのに、私だけ子どもの養育費を支払い続けなきゃいけない」、「不公平だから、元夫に言ってあなたにだけ慰謝料を請求してもらう」と不満を訴えるようになりました。

今もLINEの文面、通話記録などで不貞行為の証拠は残っています。それを女性が元夫に打ち明けたら、男性は慰謝料を請求されてしまうのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。

●あとから不貞行為が発覚したら…?

——離婚協議書に「慰謝料を請求しない」と記載しても、その後不貞行為が発覚した場合、慰謝料を請求されるのでしょうか。

これは、法的には難しい問題点がいくつかあります。なるべく分かりやすく説明するように心がけますが、ちょっと小難しくなってしまうことご容赦ください。

まず、元夫と女性が作った離婚協議書のうち、男性に慰謝料を請求しない、という部分が、離婚協議の当事者ではない男性との関係でどういう効力があるという問題です。

この、男性に慰謝料請求をしないという部分は、「第三者のための契約」です。「第三者」である男性は、「受益の意思表示」を元夫に示せば、「債務免除」の利益を受けることができます。元夫に「男性に慰謝料請求をしない」という部分の恩恵を受ける意思を示せば、男性は債務を免れるのです。

ただし、元夫が「不貞関係はない」と誤解して、男性に慰謝料を請求しないという合意をしてしまった場合、そもそもその合意は有効なのか、という問題があります。

——確かに不貞関係があったことを秘密にしたまま慰謝料請求しないと合意しているので、騙しているようにも思えます。過去の同じようなトラブルでは、どのように判断されたのでしょうか。

過去の裁判例を参考にしますと、夫が不貞の事実を隠して妻と離婚協議書を作成したケースで、(元)妻が慰謝料の請求を放棄した条項は錯誤で無効として、後に(元)夫や不貞相手に対する慰謝料請求を認めたものがあります。

現在は民法が改正されていますので、今回のケースでは、錯誤があれば即無効ということではなく、元夫が合意を取り消せば無効になり、元夫から男性に対する慰謝料請求が認められることになります(離婚協議書の作成が2020年4月以降の場合)。

 ●元妻も慰謝料請求されるリスク

——女性が元夫に不貞を打ち明けたら、どのようなことが予想されますか?

今回のご相談のケースの女性が元夫に不貞を打ち明けることで、元夫は、男性に慰謝料請求するだけではなく、元妻である女性にも慰謝料請求する可能性はあります。

また、男性だけが慰謝料請求され、慰謝料を支払ったとしても、男性は女性に、共同不法行為者であるとして、慰謝料の負担を求めることができます(求償といいます)。

また、元夫が慰謝料請求訴訟をした場合、男性は女性にも訴訟に参加するように告知し(訴訟告知といいます)、仮に女性が訴訟に参加しなくても、後に求償しやすくすることもできます。

——過去の不貞を打ち明けることで、女性にもリスクがあるということですね。

そうなります。元夫も、打ち明けられて慰謝料請求するにしろ、しないにしろ、「やはり裏切られていたのか」「騙されていたのか」とショックを受けるでしょう。誰一人得をしないということです。

養育費は子どものためのお金として、誠意をもって対応していただき、互いに反省して過ごすのが一番理想ですね…。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

小田 紗織
小田 紗織(おだ さおり)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。

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