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不倫相手「バラされたくなければ誠意を」…「手切れ金」を請求されたら払う必要ある?
画像はイメージです(よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA)

不倫相手「バラされたくなければ誠意を」…「手切れ金」を請求されたら払う必要ある?

「奥さんや職場にバラされたくなかったら、誠意をみせてよ」。ドラマのような話ですが、別れ話がもつれて「手切れ金」を求められた人からの相談は、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも寄せられています。

ある女性は、「(夫は手切れ金を)本当に支払う必要があるのか」と投稿しました。女性の夫が、2年にわたって関係を続けた不倫相手に別れを告げると「バラされたくなかったら、150万円を3カ月以内に支払うよう」に求められたそうです。

夫からすべてを打ち明けられた女性は、呆れ果てながらも、冷静に「そもそも手切れ金を支払う必要があるのか」と、疑問を抱いています。相手女性は、既婚者と知って不倫関係を続けていたようです。そのため、慰謝料を請求するのは本来、妻である自分の方ではないかと考えています。ただ、離婚する気はありません。

相談者が心配しているように、不倫相手に「手切れ金」を支払わないといけないのでしょうか。畑中優宏弁護士の解説をお届けします。

●手切れ金を支払う法的義務はない

まず、既婚者であることを承知したうえで不倫交際していた場合、夫は、相手の女性に「手切れ金」を支払う法的な義務はありません。ですから、相談者は心配する必要はありません。

さらに、「払わなければ、職場にバラすぞ」などと言われているとしたら、支払い義務がないのに脅しているということになります。その女性は、刑法の「恐喝未遂」にあたる可能性があるでしょう。

一方で、夫が「未婚である」とだまして交際し、相手の女性に何らかの損害を与えた場合、夫はその損害を賠償する責任が生じる可能性があります。いずれにしても、妻は判例上、不貞相手の女性に慰謝料の請求ができます。

しかし、夫と離婚しない場合、離婚した場合に比べて、慰謝料は低い金額になります。妻が与えられた損害は少ないといえるからです。

あくまで一般的な話ですが、離婚も別居もしない場合は50万〜100万円、別居に至った場合は100万~200万円、離婚に至った場合は200万~300万円が相場になります。

そうはいっても、もし夫の不倫相手が、そのような請求をしてくる女性でしたら、話がこじれずに別れるというのは非常に難しいでしょう。相手に応じて対処方法を考えるしかありません。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

畑中 優宏
畑中 優宏(はたなか まさひろ)弁護士 弁護士法人湘南よこすか法律事務所 逗子事務所
公立小学校の教員を8年間勤めた後、弁護士をめざして司法試験に合格しました。学校現場の問題には詳しく、相談も多く受けています。

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