「妻が離婚に応じてくれません。どうすればよいですか」。弁護士ドットコムに、妻と結婚して7年になるという30代の男性が相談を寄せています。
相談者夫婦には子どもはおらず、共働きです。妻のほうが相談者よりも早く帰宅しますが、ときおり用意してくれる料理は「豆腐のみ」など極端なメニューばかり。性交渉も「前の彼氏の方がいい」「1回も気持ちいいと思ったことはない」などと繰り返し言われ続けるため、セックスレスになってしまったといいます。
また、相談者の両親に対しても、自宅を新築する際に何度も補助を迫ったり、母親を「おしゃべりババアが!」と言ったりしたこともありました。
ほかにも妻に対する不満が募り、相談者は約3年ほど、妻に離婚をしたいと言い続けてきました。しかし、離婚届を破いたり、話をそらしたりされるため、まったく話し合いにならないまま現在に至るそうです。
話し合いでの離婚に相手が応じてくれなかった場合、どうすればよいのでしょうか。山口政貴弁護士の解説をお届けします。
●調停を経ないと離婚裁判をすることはできない
ーーいきなり離婚裁判を起こすことはできないのでしょうか。
法律上、かならず調停を経た上でないと離婚裁判をすることはできません。そのため、協議離婚ができず、それでも離婚したい場合には、かならず離婚調停を経ることになります。
具体的な手続きですが、調停は調停委員という裁判官ではない民間の人が2人選ばれ、この人たちが夫と妻の双方の話を聞きます。
法廷のように一般公開されることはなく、小さい会議室のような部屋で、夫と妻とかわるがわる部屋に入って話を聞きます。ですので、相手と顔を合わせることはありません。
調停は話し合いですので、双方が合意しなければ離婚は成立しません。その場合に初めて離婚訴訟を提起することができるのです。
裁判所に支払う手数料(収入印紙代)は、調停の場合は1200円、訴訟となると1万3000円です(請求の内容によっては増加する可能性あります)。
弁護士に依頼する費用は事務所によって異なりますが、おおむね20〜30万円程度であると思われます。 また、あくまでも目安にすぎませんが、調停の場合は早ければ2〜3カ月程度ですが、長くなると1年以上かかるケースもあります。
●離婚裁判は「白黒」ハッキリつけられる
ーー離婚裁判になった場合は時間がかかるのでしょうか。離婚調停とどのような違いがありますか。
裁判の場合、争点が複雑でなければ7〜8カ月程度でしょうか。
裁判は公開の法廷でおこなわれるので、調停と異なり、一般人が傍聴に来る可能性があります。
また、調停ではほとんど口頭で説明すれば足り、適宜調停委員がサポートしてくれますので、綿密な書面を作る必要はありません。一方で、裁判となると、法律の規定に則って綿密な書面を作って裁判所に提出しなければなりません。
ただ、裁判の場合は合意に至らなかったとしても裁判所の方で白黒はっきり(=離婚を認める、認めない)つけてくれるので、何らかの結論は確実に出されます。
(弁護士ドットコムライフ)