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コロナ禍で収入減、シングルファーザーの苦境「ひとり親を理由に解雇」行政支援も乏しく
会見した一般社団法人「ひとり親支援協会」代表理事の今井智洋さん(左)ら

コロナ禍で収入減、シングルファーザーの苦境「ひとり親を理由に解雇」行政支援も乏しく

シングルファーザーが社会的に孤立している実態があるとして、ひとり親の支援団体が11月24日、行政の支援拡大などを求めて厚生労働省などに要望書を提出した。

一般社団法人「ひとり親支援協会」がおこなったアンケート調査では、「母子家庭のみを対象としている行政支援が多く利用できない」「男性用トイレにおむつの交換台がない」「母子手帳という名前を変えて欲しい」などの声が寄せられた。

会見を開いた同協会代表理事の今井智洋さんは「自治体のひとり親支援の相談や交流の場は、母子家庭のみを対象としていることが多い。シングルファーザーは数が少なく、まずは社会的な認知を広げる必要がある」と話した。

●「1人親だから」コロナで解雇

アンケートは、同協会が運営するひとり親交流サークル「エスクル」の登録者に呼びかけ、233人のシングルファーザーから回答を得た。

アンケートでは、コロナによる収入減少を訴える声が多く寄せられた。

去年よりも収入が減るというシングルファーザーは54%にのぼり、「収入は激減したが、保育園が休みだったため、おもちゃや絵本、食事など支出は増えた」「コロナで会社の業績が落ち、1人親だから規定の業務をできないといわれ、即解雇された」など支援を求める声があった。

要望書では、他に児童扶養手当の所得制限の緩和、死別父子家庭の遺族年金の格差是正も求めている。

かつて、遺族基礎年金は母子家庭、もしくは両親のいない子どもにしか支給されなかったが、2014年から父子家庭にも支給されるようになった。

ただ、遺族厚生年金は、妻が受け取る場合は年齢不問なのに対し、夫が受け取る場合は55歳以上でないと受給権がない。最高裁は2017年、同様の年齢制限がある遺族補償年金について、法の下の平等を定めた憲法には違反しないと判断している

昨年秋に妻と死別し2人の子どもがいる男性は、当時年収が850万円以上あり、遺族厚生年金は所得制限のため受給できなかった。

会見で男性は「当時は、妻がいて元気に働けるという状況だった。今後は子どもの様子によっては、仕事をセーブしなければいけない。そうした時に年金を受け取れないというのは理不尽さを感じる。子どものために働き続けなければいけないというプレッシャーがある」と訴えた。

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