今年4月に弁護士ドットコムが発表した、離婚を希望しているが相手の同意を得られていないユーザーを対象にした男女別の「離婚を考える理由」TOP5にて、男女ともに1位は「家庭生活に非協力的(別居、多額の借金、生活費を払わないなど)」となり、離婚を考える理由のうち全体の42.4%を占める結果になった。
厚生労働省の調べによると2011年の離婚件数はおよそ23万5,000組で、およそ3組に1組が離婚する時代になったといわれているが、かといって離婚が成立するための法的な条件が近年に緩和されたわけではない。相手の同意を得られていない状態で離婚するためには、家庭裁判所で相応の理由があると認められる必要がある。相手が家庭生活に非協力的だと感じる範囲は人の主観によって異なるので、非協力的だからといって当然に離婚が認められるわけではないのだ。
それではどの程度、配偶者が家庭生活に非協力的だと離婚が認められるのだろうか。離婚問題に詳しい堀晴美弁護士によると、
「たとえば、帰宅時間が遅くて子供の面倒をみてくれない、家事も手伝ってくれない、子供の将来について相談にのってもらえない、休日も子供の面倒をみてくれない、などの不満があり、これを家庭生活に非協力として、離婚したいという女性、あるいは、日頃子供の面倒をあまりみない、家事もあまりしてくれないという男性から、家事に非協力ということで離婚したいという相談を受けることがあります。ですが、この程度だと、裁判所は、双方の話し合いで解決できる程度のものだと判断して、離婚を認めない可能性が高いと思われます。」
「全く給料を入れてくれない、あるいは、外出が多く、全く子供の面倒をみず、家事も全くしてくれないという、いわゆる“家事放棄”や“育児放棄”のような状態にならないと、裁判所が離婚を認める理由としては成り立ちがたいと言えます。」
堀弁護士がいうような家事放棄など、客観的に見てもこれ以上は家庭生活を続けることが困難だと思われるような事情がない限りは、相手が家庭生活に非協力的だからといって裁判手続きを使って一方的に離婚することは認められない可能性が高いようだ。
日本の法律においては、一度結婚したからには少々の非協力があってもそれはお互いの努力で克服すべき、という考えが基本になっているといえる。お互いの合意がない限りは、離婚はそう簡単に認められるものではなさそうだ。