「家族に新型コロナウイルスが感染したら怖い」。そんな理由で家を出た接客業の夫が、実は、不倫相手と同棲していた——。夫に裏切られた女性から弁護士ドットコムに相談がありました。
女性の夫はキャバクラで働いています。「いつコロナに感染するか分からない」と話し、生後7カ月の子どもと女性とは離れて、落ち着くまで職場の男性従業員の家で寝泊まりすると言い始めました。
最初の1カ月は頻繁に連絡も取っていましたが、2カ月目になるといきなり着信拒否され、連絡が途絶えました。怪しく思った女性が探偵に依頼したところ、なんと子どもが3人いる女性と同棲していたことが判明しました。
「証拠をつかめたため、依頼して良かったです。ですが、給料全額持ってきていようが普通に許せません」。女性は「このまま離婚しては、養育費を払わなくなるのは目に見えています」と予想しています。
果たして、離婚時にどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。木下貴子弁護士に聞きました。
●養育費の取り決めが必要
——離婚時に取り決めしておくべきことがあれば、教えてください
離婚することになった場合、質問者が親権を取得し、子どもを養育することになれば、養育費の取り決めをしておく必要があります。支払ってもらえない場合には、速やかに差押えが出来るように公正証書や離婚調停による調停調書などの書面を確保するのが良いでしょう。
女性と同棲している証拠がある、ということですので、不貞行為による慰謝料請求も出来ると思われます。
養育費と慰謝料には、それぞれの性質からメリット・デメリットがあります。
離婚後に夫が交際女性の子と養子縁組などをすると養育費は減額されてしまう可能性がありますが、支払いが滞って給与を差し押さえる場合には、最大で給与の2分の1まで差し押さえをすることができます。
離婚後、夫が破産した場合でも、破産前に滞納していた分と破産後の分はすべて支払う義務があります。
——慰謝料はどうでしょうか
慰謝料の分割払いは、その後に、収入の増減等の事情変更があっても減りません。
ただ、支払義務者が破産して免責を受ければ、破産前に支払いが遅れていた分も、破産後に支払い期限が定められていた分も全て、支払義務がなくなります。
また、慰謝料は給与の4分の1までしか差し押さえできません。
——養育費、慰謝料ともにシミュレーションが必要だということですね
そうです。特に、慰謝料の金額はご自身が想定しているより低く、これでは生活できない、と感じられる方も少なくありません。
弁護士と相談した上で、すぐに離婚して養育費と慰謝料を請求した方がいいのか、離婚せずに婚姻費用として生活費を夫に請求した方がいいのか、もう一度検討してみると良いでしょう。