アイドルグループ「乃木坂46」の松村沙友理さん(22)が路上で男性とキスをしている――。そんな写真が10月8日発売の週刊文春に掲載され、大きな話題となっている。相手の男性は出版社勤務の30代男性。妻子ある既婚者ということで、誌面には「不倫」という文字が躍っている。
週刊文春によると、写真が撮影されたのは9月17日午前3時のこと。2人は翌週・翌々週にもデートを重ね、新宿や銀座の高級カラオケのカップルルームで、深夜に4時間以上滞在していたという。
松村さんは10月8日、文化放送のラジオ番組に出演した際、今回の報道についてコメントした。男女の関係はなかったとしつつも、「相手のご家族に不快な思いをさせてしまい、本当に申しわけなく思っています」と謝罪した。ただ、「家庭があることを知りませんでした」と述べ、キスをした相手が結婚していたとは知らなかったと強調した。
たしかに、相手が「独身だ」と言っていれば、既婚者だとわからない場合もあるだろう。一般論として、相手が結婚していると知らなかった場合、法的な責任は生じないのだろうか。たとえば、不倫の慰謝料を請求されることはないのか。男女問題をめぐるトラブルにくわしい佐々木未緒弁護士に聞いた。
●一度も彼の家に行ったことがなければ過失アリ?
「もし不倫があった場合、慰謝料の請求は、民法の不法行為(709条)が根拠となります。その要件として、不倫相手に『故意または過失』があることが必要です」
佐々木弁護士はこのように述べる。既婚者と知らなかった場合は、「故意または過失」があったといえるのだろうか。
「相手が既婚者だと知らなかったということでしたら、あえて不倫をしたわけではないので、『故意』があったとはいえません。ポイントは、妻子がいることに気付かなかった点に、『過失』があったかどうかが焦点になります」
この場合の「過失」とは、具体的にはどんなことだろう?
「普通の人であれば『ん?』と思うような内容や出来事があった場合や、『それは、ちょっと気にすれば、気付けたんじゃないの?』と言えるような場合、『過失』が認められてしまいます。たとえば、次のような事情です。
・一度も彼の家に行ったことがない
・『行きたい』と言っても不自然に断られた
・自由に電話をすることができない
・日曜日やクリスマスや年末年始など、家族で過ごすことが多いときに会うことができなかった
・家族構成やこれまでの女性との交際経緯の説明が不自然だった
こうした事情があるのに、相手が既婚者だと気付かなかったとすれば、『過失』が認められる可能性があります。普通の恋人同士の関係ではないなと、簡単に察することができますからね」
●「過失」の場合も慰謝料を払う必要がある
「『過失』が認められた場合、慰謝料を支払わなければなりません。ただし、『故意』で不倫していた場合と比べれば、金額は少なくなります。
たとえば、恋人が独身を装っていたことがわかるようなメールやLINEなどの記録があれば、『故意』ではなかったと、認めてもらいやすくなります」
このように解説したうえで、佐々木弁護士は「恋に落ちると、自分の目は節穴になりがちです。友達や同僚などの周りの人に、客観的な意見を聞いてみるのが賢明です」とアドバイスを述べていた。