夫に「専業主婦がゴロゴロしているのに我慢できない」と言われたーー。夫に離婚調停を申し立てられた女性が弁護士ドットコムに相談を寄せています。さらに相談者が、禁煙をきっかけに10キロ増加すると、夫は「見た目もイヤ」と言われたそうです。
「ゴロゴロしているときもありますが、掃除、洗濯、炊事、子どもの送迎やお金の管理など、家庭でのことはやっているつもりです。ご飯も旦那の帰宅に合わせて用意しています」と、相談者は納得できない様子です。
夫は調停離婚が成立しなかった場合は「仕事を辞めて逃げたい」と話しているようです。どうやら、妻が愛想を尽かしてくれることを期待しているようです。夫が望むように、離婚が認められる可能性はあるのでしょうか。
●「婚姻を継続し難い重大な事由」にはあたらない?
法律で定められている離婚事由は、(1)不貞行為 (2)悪意の遺棄 (3)生死が3年以上、明らかでないとき (4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5つです(民法770条)。
今回のケースは、(1)から(4)にあたらないでしょう。しかし、「(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と判断されれば、離婚が認められる場合があります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」があるか否かの判断はケースバイケースです。判断にあたり、裁判所はさまざまな事情を総合考慮します。
そして、夫婦関係が破綻し、回復が困難であり、これ以上は結婚生活を続けていくことが難しいと判断された場合に、離婚が認められることになります。
「専業主婦でゴロゴロしているのが我慢できない」という理由のみで、ただちに「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と判断されることは考えにくいでしょう。
●夫が逃げてしまった場合は、円満調停を申し立てるという方法も
離婚・男女問題に詳しい山口政貴弁護士 は「夫が逃げてしまった、すなわち別居状態になったのであれば、婚姻費用を請求することができます。夫婦関係の修復を目的とするのであれば、円満調停を申し立てることもできます」といいます。
なお、別居が長く続いた場合には「離婚が認められてしまう可能性が高くなりますので、財産分与と慰謝料、養育費の請求というように、もっぱら金銭面の請求をすることになるでしょう」。