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上司が飲み放題つけず→自分だけ10杯 「割り勘負け」の差額を請求したい
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

上司が飲み放題つけず→自分だけ10杯 「割り勘負け」の差額を請求したい

飲み放題をつけずに自分だけ10杯飲んで、お会計は割り勘ーー。都内の会社員Y子さんは、会社の歓迎会で一人飲みまくった上司に憤っています。

飲み会の場所は、ドリンク1杯600円程度の居酒屋でした。飲み放題は1800円でつけられましたが、30代の上司は「3杯以上飲まないと、元が取れないから」、「大人の飲み会だから、飲み放題つけなくていいよね」と言い、飲み放題をつけませんでした。

しかし、一旦飲み会が始まると、上司は何も気にせず次々とドリンクを注文。最終的には一人で10杯ほど飲みましたが、お会計は割り勘で一人5000円程度でした。

周りの様子を見ながら2杯程度に抑えていたY子さんは、「最初は飲むつもりがなかったけど、飲み始めたら止まらない人なんでしょうね。もうあの人の言うことは信じません」と割り勘に疑問を抱いています。

こうした「迷惑飲んべえ」に法的な問題はないのでしょうか。西口竜司弁護士 に聞きました。

●多く飲んだ分を請求するのは難しい

ーーよくある話ですが、法的にはどう考えられるのでしょうか

非常に悩ましい問題ですね。私もお酒好きの友人と飲みに行くと「割り勘負け」することが多く、Y子さんの気持ちも分かります。

上司との間で「3杯以上飲まない」という一定の契約が成立したと考えれば、自分が飲んだ分に応じて支払うべきということになり、多く飲んだ分の請求をするということも考えられます。

他方、社会常識の範囲内の話と考えれば、上司と部下との間で「3杯以上飲まない。飲んだら支払う」といった内容の契約が成立したとは考えにくいと考えます。上司の行動にはモラル上問題があるかもしれませんが、部下は上司に多く飲んだ分を請求するのは難しいと考えた方がいいですね。

もちろん、上司としての信用も失墜してしまうのでダメージは大きいと思います。個人的には上司として自分が飲んだ分は自主的に払うべきだと思います。それが社会人としてのマナーではないでしょうか。特に最近は飲まない方も多いので気をつけないといけませんね。

これから酒がおいしい季節になってきたので注意をしないといけませんね。

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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