「妊娠しているので3000万円払え」。不倫関係を終わらせようとしたところ、相手から脅迫的な要求を受けたとして、ある男性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。
妻と2人の子どもがいるという相談者。1年ほど不倫を続けてきた独身女性に別れを告げたところ、自宅や会社に電話やメールで嫌がらせの連絡が入るようになりました。
しまいには、「妊娠した」とエコーや母子手帳の写真を送りつけられ、「家族や会社にバラす」「3000万円払え」などと脅されているといいます。しかし、エコー写真や母子手帳は偽造されたもので、妊娠は事実ではなさそうです。
執拗に電話やメールがあったため、相談者はすでに数万円を支払ったといいます。しかし度重なる要求に「脅迫や恐喝、妊娠詐欺で刑事告訴できますか?」と質問を寄せました。鳥生尚美弁護士に聞きました。
●詐欺に当たる可能性 ストーカー行為にも
「妊娠している」と嘘を言って欺いてお金を支払わせることは詐欺罪に、「家族や職場にバラす」など不利益を告げて怖がらせてお金を支払わせることは恐喝に当たり得るでしょう。
もっとも、警察で「告訴をしたい」と伝えても、なかなか受理してもらえないということがよくあります。弁護士に告訴状の作成を依頼したり、提出に同行してもらったりすることもできます。
さらには、自宅や会社に電話やメールで嫌がらせの連絡をしてくることは、ストーカー行為(ストーカー規制法2条1項第5号)にも該当する可能性があります。警察から相手に警告をしてもらうことができます。
相手からの着信履歴やメールなどを記録に残しておき、それらをもって警察に相談することをおすすめします。
●民事でも損害賠償などを求められる
民事においても、詐欺や恐喝という違法行為によって損害を生じさせているので、損害賠償請求や慰謝料請求をすることができます。ただ、それはあくまでも事後的な救済になります。
このような事案では、相手に対して、「あなたがやっていることは恐喝及びストーカー行為にあたるものである」ということを指摘し、当該行為をやめるよう書面で警告をすることで、当該行為がやむ場合が少なくありません。
お金を払うなど被害が深刻になる前に、警察や弁護士に相談をすべきでしょう。