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2013年04月13日 20時35分

通信障害でネットが使えない! 仕事で発生した損失を補填してもらえるか?

通信障害でネットが使えない! 仕事で発生した損失を補填してもらえるか?
通信障害で仕事に支障が出るのは頭が痛いことだ

イー・アクセスの提供している携帯電話の音声通話やデータ通信が4月2日、東京都の一部で利用しづらい状況となった。通信障害が発生してから、およそ3時間後、同社は復旧を発表した。

ここ数年、イー・アクセスの「イー・モバイル」など、無線通信でインターネットにアクセスできる端末が普及している。契約プランにもよるが、ほとんどは定額料金による大容量データ通信で、首都圏では地下鉄内などでも利用できるようになってきている。いまや仕事や生活を営む上で欠かせないツールになりつつあると言ってよいだろう。

今回の通信障害のように、地域一帯で利用できなくなったとあれば、利用者はおとなしく復旧を待つしかない。では、そのようなときに、端末を使えなくて仕事で大きな損失がでたらどうなるのだろうか。通信会社に損害賠償を請求できるのだろうか。岩永利彦弁護士に聞いた。

●「単につながりにくい」程度では、損害賠償が認められない

「結論から言うと、損害賠償の請求は認められないと考えます」

このように岩永弁護士は単刀直入に述べる。なぜ、そのように言えるのだろうか。

「まず、『イー・モバイル』等の通信サービスを受けている利用者は、その通信サービス会社の提示した『約款』により契約を結んでいるはずです。したがって、損害賠償をどのくらい請求できるかも、その約款によることになります。

もちろん、この約款の有効性も問題とはなりますが、大勢の利用者と定型的に契約を締結する合理性等から、約款が無効となることは考えにくいため、有効であるとの前提で考えます」

このように述べたうえで、岩永弁護士は「イー・モバイル」の約款について、次のように解説する。

「『イー・モバイル』の提示している約款の損害賠償の項目を見ると、単につながりにくいとか、利用しづらい程度では、賠償されないことがわかります。当該約款によると、賠償されるのは『全く利用できない場合で、かつ、その状態が24時間以上連続した場合』という極めて限定的な場合だけだからです。

これは何も『イー・モバイル』に限ったことでなく、他の携帯電話会社やインターネットサービスプロバイダー、電話会社等でも採用している、いわば通信関係の約款のデフォルト規定とも言えるものです」

●24時間以上の通信不能でも、賠償額は「数百円程度」

つまり、「イー・モバイル」の約款によれば、今回のように3時間程度つながらなかっただけでは、賠償の対象とはならないということだ。では、もし24時間以上も連続して全く利用できない状態となり、賠償するべき事態が生じたら、どうなるのだろうか。

「仮にそのような場合でも、この約款によると、その損害額は利用料金の日割額だけと制限されています。ですので、月額数千円の利用料金の場合、24時間以上の通信不能でも、認められる賠償額は、数百円程度になります。結局、通信障害で端末が使えないために重要な仕事を取り損ね、それにより莫大な損害が生じたとしても、その損害は認められないということになります」

このような取り決めは、通信会社に有利で、利用者に不利とも思えるが、仕方ないのだろうか。

「この約款のような賠償額を限定する規定は、『損害賠償の予定』と言い、民法420条でも認められているものです。このような規定がなければ、利用者が重要な仕事を取り損ねた場合などに、多額の損害賠償責任を負うリスクがあります。すると、結果的にはそのような賠償リスクをあらかじめ利用料金に反映せざるを得なくなって、利用者にもデメリットが発生することになります。そういうわけで、このような『損害賠償の予定』の規定にも、一定の合理性が認められているのです」

このように岩永弁護士は説明するが、例外がないわけではないという。それは、通信サービス会社に「故意又は重大な過失」がある場合には、損害賠償額を制限する規定が適用されないということだ。しかし、この「故意又は重大な過失」も、「非常にハードルの高いもの」と岩永弁護士は言う。「今回の事例も含めて、実際に認められることは少ないものと考えます」。

結局のところ、モバイル端末で通信障害が発生したとしても、損害賠償が認められるケースは極めて限られ、その場合でも、賠償額はごく少額になってしまうということだ。「ある程度の低廉な料金で通信サービスを受けている以上は、やむを得ない面もあると思います」というのが岩永弁護士の意見だが、インターネット接続は現代社会の重要なインフラとなっている。お金を払っている利用者としては、極力、通信障害が起きないように、各通信会社に期待したいものである。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

岩永 利彦弁護士
ネット等のIT系・ソフトウエアやモノ作り系の技術法務、知的財産権の問題に詳しい。メーカーでのエンジニア、法務・知財部での弁理士を経て、弁護士登録した理系弁護士。著書「知財実務のセオリー 増補版」及び「エンジニア・知財担当者のための 特許の取り方・守り方・活かし方 (Business Law Handbook)」好評発売中。

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