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最高裁判事の「弁護士」審査やってみた あふれる不満、不信任過半数のケースも
画像はイメージ(khadoma / PIXTA)

最高裁判事の「弁護士」審査やってみた あふれる不満、不信任過半数のケースも

最高裁裁判官の国民審査では、これまで一度も罷免になった裁判官はいない。一般有権者にとっては、各裁判官の適格性を判断する材料が乏しいという面もあるのだろう。

では、仕事上、最高裁と向き合うこともある弁護士目線ではどうだろうか。弁護士ドットコムの登録弁護士を対象に「バーチャル『弁護士』審査」を実施したところ、2人が罷免対象となる50%を超えるなど厳しい結果が出た。

●圧倒的に不信任が少ない裁判官が一人

バーチャル「弁護士」審査のアンケートは、10月28日から11月2日午前11時までに実施。108件の回答が得られた。

弁護士がもっとも重視したのは、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした最高裁決定(2021年6月23日決定)だったようだ。

合憲と判断した深山卓也(60票、55.6%)、林道晴(55票、50.9%)、岡村和美(50票、46.3%)、長嶺安政(45票、41.7%)の四氏が実際の国民審査同様、不信任率の上位を独占した。本物の国民審査では不信任率が50%を超えると罷免になる。

このほか、2019年の参院選をめぐる「一票の格差」訴訟も関心が高く、格差が最大3.00倍だったことを合憲と判断した深山、林、岡村の三氏がバツを上積みすることになった。

また、深山裁判官については、殺人の罪などで10年間服役した鹿児島県の原口アヤ子さん(94)が無実を訴えている「大崎事件」で再審を認めない決定(2019年6月25日)に関与したことを問題視した弁護士もいた。

●「ワシの特別抗告を棄却した」

フリーコメントでは、「憲法判断に消極的で最高裁の意味があるのか?」、「人権感覚に疑問あり」など厳しい意見も。「投票の権利を一番発揮できるよう、全員バツにする」、「ワシの特別抗告を棄却した」という声もあった。

逆に夫婦同姓の強制や一票の格差について、違憲と判断した宇賀克也裁判官は、唯一不信任率が1桁台だった(10票、9.3%)。

このほか、国民審査そのものについて、「各裁判官がどんな判断をしたのか、弁護士ですら分からず、一般国民が投票する実益があるか疑問」など、不透明さや情報不足を指摘する声があった。

一方で、「この制度は機能していない、税金の無駄といわれることも多いが、おかしな裁判官が出てきたとき、国民が直接罷免できるということで、国民による司法チェックとしては有益な制度と思います」というコメントもあった。

●投票結果(投票計108件、敬称略)

・深山 卓也(60票、55.6%)
・林 道晴(55票、50.9%)
・岡村 和美(50票、46.3%)
・長嶺 安政(45票、41.7%)
・堺 徹(34票、31.5%)
・安浪 亮介(33票、30.6%)
・岡 正晶(28票、25.9%)
・三浦 守(28票、25.9%)
・渡邉 惠理子(25票、23.1%)
・草野 耕一(21票、19.4%)
・宇賀 克也(10票、9.3%)
・やめさせたい裁判官はいない(38票、35.2%)

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