気象庁のホームページで、ことし9月からウェブ広告が掲載されるようになる。背景には、厳しい財政事情があるということだが、インターネット上では驚きの声が広がっている。
●国民の負担を増やすことなく
気象庁は7月6日、9月中旬からのウェブ広告掲載に向けて、広告運用を委託する事業者を募集しはじめた。ツイッターには、「違和感がある」「やめてほしい」などといった声も一部あがっている。
気象庁によると、これまでウェブ広告は掲載してこなかったが、厳しい財政事情・制約がある中で、さまざまなリソースの活用を検討していたところ、ウェブ広告掲載について、実現性・実効性があることが見えてきたという。
担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「ホームページを広告媒体として活用することで、国民の負担を増やすことなく、持続的・安定的な情報提供を効率的に維持・推進していきたい」と話した。
●閲覧性が損なわれないように
気象庁のホームページは、気象や地震・津波、火山など、防災をはじめとした情報を掲載しており、国民が防災行動のための情報を入手する重要なツールの一つになっている。
こうしたウェブ広告掲載によって、たとえば、命に関わる情報が見えづらくなったり、ウェブページが重くなるおそれもあるが、「広告掲載の運用方針をしっかり定めて、閲覧性が損なわれないように配慮して運営していく」(同担当者)。
また、不適切な広告についても、公序良俗に反するものは掲載しないという。
●過去には外務省がバナー広告掲載
現在、いわゆる中央省庁のホームページで、ウェブ広告を掲載しているところはないが、過去には、外務省がバナー広告を掲載していたという。また、地方自治体のホームページの中には、現在も広告掲載しているところがある。
気象庁は、そうした運用基準や業界団体のガイドラインを参考にして、運用方針をすでに定めた。国民にも広く、ウェブ広告掲載の趣旨について理解してもらいたいことから、広告掲載がはじまるタイミングでホームページ上に運用方針を公表する予定という。