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車にひかれた愛犬、「物損」扱いに悲しみは増すばかり「減点や罰金もありません」
画像はイメージです(KYオフィス / PIXTA)

車にひかれた愛犬、「物損」扱いに悲しみは増すばかり「減点や罰金もありません」

「他人の飼い犬をひいてしまった」という相談が、弁護士ドットコムに複数寄せられています。飼い犬、飼い主にとってショッキングな出来事ですが、ひいてしまった人にも悲しみと困惑を与える事故であることは間違いありません。

ある人は飼い犬の死を悼みながらも「ペットの飼い主はリード類をつけずに散歩させていた」と、飼い主側の過失を主張しています。

事故の相手が犬だった場合、法律上どのように処分されるのでしょうか。山田訓敬弁護士に聞きました。

●ペットは「物」として扱われる

「動物(ペット)は、家族の一員と思っている飼い主は納得されないかと思いますが、動物は、法的には『物』として扱われます。

そして、故意に(わざと)動物に傷害を加えることは、刑法261条の器物損壊罪や動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法)で処罰される可能性がありますが、過失(不注意)により動物に傷害を加えてもこれらの罪は成立しません」

飼い主にとってはつらい事実だ。減点や罰金などの処分すらないのでしょうか。

「道路交通法上、動物をひいた場合に関する規定はなく、原則として減点や罰金などの罰則が科せられることもありません」

●「危険防止等措置義務」と「報告義務」

この他、法的な問題は考えられないでしょうか。

「動物との交通事故は、車両等による物の損壊として『物損事故』となります。道路交通法72条第1項は、物損事故を起こした者にも『危険防止等措置義務』と『報告義務』を課しています。

そして、危険防止等措置義務違反の場合には『1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する』(道交法117条の5第1号)とされ、報告義務違反の場合には『3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する』(道交法119条第1項第10号)とされています。

ですので、ただ物損事故を起こしただけでは刑事責任を問われることはありませんが、危険防止等措置義務や報告義務に違反すると刑事罰を受ける可能性があり得るということになります」

相手が「犬」だからと軽んじず、しっかりと警察に連絡しなければいけないのですね。

「そうです。危険防止等措置義務違反があれば、行政処分の対象となり、免許の点数が引かれてしまうことも考えられます。他人のペットをひき殺してしまった場合には物損事故となりますので、その場から立ち去るのではなく、危険防止措置をとった上で、必ず警察に報告すべきでしょう。

また過失の場合でも、民事上の損害賠償義務を負う可能性はあります。その場合でも飼い主がどのように飼い犬を管理していたのか、事故態様がどのようなものだったか等案件によっては過失割合が問題となるケースは多いと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

山田 訓敬
山田 訓敬(やまだ くにたか)弁護士 弁護士法人山田総合法律事務所
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、交通事故や遺産相続・離婚等の個人トラブルの分野にも力をいれている。特に、個人の分野では、相談者の「悩みを思い出に!」をモットーに、相談者の悩みを親身になって聞いてもらえると好評である。また、コロナ禍になってからはオンラインでの相談にも注力しており、全国から問い合わせがあっている。

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