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自転車ヘルメット義務化、弁護士の6割が「罰則は不要」 その理由は?
画像はイメージです(yamasan / PIXTA)

自転車ヘルメット義務化、弁護士の6割が「罰則は不要」 その理由は?

4月から道路交通法(以下、道交法)が改正され、ヘルメットの着用が全世代で努力義務となった。この改正について、弁護士ドットコムは会員の弁護士に意識調査を行い(期間:5月27日〜6月6日)、全国の82名から回答が寄せられた。

その結果、ヘルメットの着用について、努力義務より厳しい罰則をもうけるべきという意見は全体の2割に届かなかったが、交通事故の交渉に対しては、少なからず影響すると考えている弁護士が3分の2以上いるという結果となった。

●半数以上の弁護士が「厳罰化すべきでない」

今回の改正は、着用の努力義務を13歳未満からすべての年齢に拡大したもの。4月1日から実施されているが、改正では依然として罰則規定等はもうけられなかった。このことについて、厳罰化が必要かを弁護士に質問した。

画像タイトル 罰則をもうけるなど厳罰化すべきか?

結果は「すべき」は15.9%にとどまった一方、「すべきではない」と回答した弁護士は58.5%にのぼった。

●交通事故の交渉へは「影響する」「まあまあ影響する」

次に、努力義務化により、交通事故の交渉に影響があるかを質問した。

画像タイトル 交通事故の交渉に影響は出るか?

この質問には「影響する」が24.4%、「まあまあ影響する」が41.5%となり、3分の2以上の弁護士が交渉に影響するという見方を示した。

一方で、「あまり影響しない」と回答した弁護士は13.4%、「影響しない」と答えた弁護士は3.7%で、「影響する」と考えている弁護士よりも少ないことがわかった。「どちらともいえない」は17.1%だった。

●寄せられた意見

アンケートでは、体験談や意見などを自由回答で募集した。寄せられた回答の一部を紹介する。

<賛成>
「やるのであれば罰則まで設けるべきだが、経験上、自転車は被害者ではなく加害者となることが圧倒的に多い。かつ、車と接触・転倒した場合の受傷は頭部ではなく四肢であることが多いので、自転車が被害者となる死亡事故の割合をわずかに下げるに留まるのではないかと思う」

「いいことだと思います。ヘルメット着用者が増えている感じがあります」

「ヘルメット未着用者について、事故に遭った場合の過失相殺が認められていくのではないかという観点で推移を見守りたい」

「自転車も免許制度を設けて違反者は免許停止にすべき」

「社会全体でヘルメットをする方向に向けて動くのは命を守るという点から賛成。少なくともヘルメットはカッコ悪いと風潮をなくすべき」

<反対>

「罰則ではなく、教育で推進すべきと思う」

「子供は義務とすべき。大人は自己責任」

「努力義務にすることは良いことだと思うが、罰則まではどうかと思っている」

「感覚過敏など、義務を制定する立場の人にはわからない理由でヘルメットを装着するのが苦痛な人もいます(チャイルドシートにも同様の問題がありますが)」

「自転車を利用する人が自分の身を守るためのものなので、厳罰化にはなじまない。むしろ、自転車の歩道走行の禁止や、車道の逆送禁止の方を、厳罰化すべき」

「自転車関連の死亡事故が余りにも増えたのが契機であり、やむを得ないと思うが、自分なら、ヘルメットかぶってまで乗る気にはなれない」

「自転車は歩道では強者、車道では弱者、強者ならヘルメット不要、弱者なら必要、そもそもの問題は自転車の歩道走行を認めていることと、安全に走れる車道が整備されていないこと」

「他者加害の防止に関する規制ではないから、原則として罰則は不要と考えるべきである。規制の対象者自身の安全を確保するための規制は私生活に対する過度な規制と言わざるを得ないであろう」

「努力義務とはいえ法律で義務付けるべきものではないと思ってます(子供に被らせることの義務化は賛成)。本人で判断すべき問題です。自転車利用者の安全のために検討すべきは、ヘルメットの義務付けではなくて、ヘルメットを被らないと危ない道路の状況だろうと思います」

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