女性から男性に性別を変更した夫の卵子を使って妻が出産した子について、法律上の父子関係が認められないのは不当だとして、東京都内で暮らす夫婦(いずれも40代)が9月18日、東京家裁に認知を求める訴えを起こした。
同日、子を出産した妻とトランスジェンダーの夫が、代理人とともに東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。
形式上は、子(法定代理人は妻)が原告となり、夫を被告として認知を求める。夫は請求を認める「認諾」の答弁をする予定で、当事者間に争いはない。
代理人の仲岡しゅん弁護士は会見で「精子か卵子かで親子関係を認めたり認めなかったりする意味はどこにあるのか」と述べた。
●夫の卵子を使って妻が出産、その後に性別変更して結婚
訴状によると、夫は出生時の性別が女性で、2015年ごろから男性として生活してきた。
当時パートナーだった妻と子を持つため、夫の卵子と第三者から提供された精子を使って体外受精をおこない、妻が2024年に子を出産した。
夫は同年12月に性別変更の審判が確定し、2025年2月に妻と結婚。直後に都内の区役所へ認知届を出したが、区は「血縁上の父子関係が存在しないため」として受理しなかったという。
訴状では、子が夫婦の結婚後に生まれていれば、民法の嫡出推定によって父子関係が認められていたと指摘している。
また、民法が認知について「その父又は母がこれを認知することができる」と定めるだけで、「精子上の血縁関係」までは求めていないと主張している。
さらに、男性から女性に性別変更した人について、凍結保存した精子を使って生まれた子の認知を認めた2024年の最高裁判決を踏まえ、卵子についても認めるべきだとしている。
●夫婦「子どもを愛している」
会見で妻は「みなさんが想定される状況では生まれていないかもしれないですけれども、普通に私の子ども」と語った。
一方で、自分が急に亡くなった場合、子を育てる人が「誰になるかがわからない」と述べ、法律上の父子関係がないことへの不安も口にした。
夫も「2人(妻と子)とも交通事故にあって意識不明になった場合、私は子どものことを何も言えない。法律上、他人になってしまうので」とうったえた。
子については「すごくかわいいし、愛してますし、幸せになってほしい。それしか考えてないです」と話した。