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六本木けやき坂、危険すぎる撮影行列…法的問題は?  赤信号の横断歩道で立ち止まる人も
混雑するけやき坂の様子。横断歩道の中央に立つと、並木のイルミネーションの間に東京タワーがそびえ立つ構図となる(2025年12月上旬/弁護士ドットコムニュース編集部撮影※一部加工してあります)

六本木けやき坂、危険すぎる撮影行列…法的問題は? 赤信号の横断歩道で立ち止まる人も

東京・六本木のけやき坂でクリスマスイルミネーションがはじまり、多くの人が訪れていますが、映えスポットでの撮影をめぐって、問題も起きているようです。

けやき坂はクリスマスシーズンになるとイルミネーションが灯り、人気の撮影スポットです。特に坂の中腹にある横断歩道の中央から撮影すると、坂のイルミネーションの間に東京タワーが映る構図となるため、訪れた人の多くが青信号の間に道路中央に殺到して撮影します。

弁護士ドットコムニュースの記者が12月はじめの土曜日の夕方に現地を訪れた際も、多くの人が横断歩道に押し寄せ、中には信号が赤に変わってからも道路に居続けるなどの様子が散見されました。警備員が配置されていましたが、注意されても無視して撮影を続ける人もいました。

こうした行為は法律的には問題ないのでしょうか。簡単に解説します。

●「往来妨害罪」は成立しない

まず、道路を塞ぐ行為として思い浮かぶのが、刑法の「往来妨害罪」(刑法124条1項、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金)です。

しかし、今回のケースでこの罪は成立しないと考えられます。

往来妨害罪における「閉塞」とは、有形の障害物を置くなどして道路を遮断することをさします。

撮影目的で道路に一時的に人が集まっている状態は、危険ではありますが、退避が可能であり、あくまでも一時的な滞留に過ぎず、「閉塞」とは認められないでしょう。「条解刑法」(弘文堂、前田雅英ら)第5版p395には、「集団で道路上に座り込み通行を妨害するのも、閉塞ではない」とあります。

●道路交通法違反にはあたりうる

往来妨害罪にはならないとしても、道路交通法違反となる可能性は高いと思われます。

道路交通法76条4項2号は、交通の妨害となるような方法で寝そべったり、座ったり、しゃがんだり、立ち止まったりすることを禁じています。罰則は「5万円以下の罰金」です(同法120条1項10号)。

青信号であっても、撮影のために横断歩道上で立ち止まる行為は、後続の歩行者や右左折車両の進行を妨げるため、この規定にあたる可能性が高いでしょう。

●逮捕まではされない?

本条は5万円以下の罰金となっており、それほど重い罰則が科せられるわけではありません。そこで、現実問題として、逮捕されたり、(略式)起訴されたりという事態にはなりにくいとは思います。

具体的な事例を探してみたのですが、撮影のために車道に出て交通の妨げになった、ということだけで処罰されている事例は見つかりませんでした。罰金刑だと仮に起訴されるとしても略式起訴となることがほとんどであると考えられ、判例集などに掲載されるような事例にはなりにくいということもあるでしょう。

逮捕された例としては、2019年3月ころ、スクランブル交差点でベッドを置いて撮影を行ったYouTuberが、道路使用・交通妨害の疑いで書類送検された例や、2018年2月ころ、京都大学の大学院生らが道路にコタツを置いて座り込んだ事例などがあります。

実際に裁判になった例としては、大阪地判昭和56年(1981年)5月15日(労働争議の際に道路上に座り込むなどした行為につき、76条4項違反とされたケース)など、いくつかが挙げられます。

こうした例と比べると、赤信号とはいえ、横断歩道上に撮影のためにとどまる行為では逮捕される可能性までは低いといえるでしょう。

ただ、こうした撮影行為は、違法行為であることには変わりがなく、近年社会問題となっているため、今後逮捕などがされることがあっても不思議ではありません。

なお、刑事訴訟法には、一定の軽微な犯罪については、「犯人の住居・氏名が明らかでない場合」や「逃亡のおそれがある場合」でなければ、現行犯逮捕できないという規定があります(217条)。

しかし、道路交通法76条4項違反はこの対象にはなっておらず、現行犯逮捕も理論上は可能であることにも注意が必要です。

また、逮捕されなくとも、警察署への「任意同行」を求められる可能性はあります。「任意」とはいえ、現場の混乱を防ぐために強く同行を求められれば、事実上拒否することは難しいでしょう。

その場合、所轄の警察署(この場合は麻布警察署など)に連れて行かれ、供述調書の作成などで数時間、場合によっては半日近く拘束されることになります。

●歩行者には「青切符」制度がない

歩行者による道交法違反の場合、自動車による場合よりも、手続き的には「重い」可能性があります。

車のドライバーが道交法違反をした場合、「交通反則通告制度(いわゆる青切符)」があり、反則金を納付すれば刑事手続きには進みません。しかし、歩行者の違反には、この青切符の制度が存在しません。

そのため、歩行者が道路交通法違反で検挙されれば、直ちに刑事手続きに入ることになります。

具体的には、警察で調書を取られ、検察庁へ書類送検され、最終的には裁判所から「略式命令」などで罰金刑を受けるという流れです。つまり、きれいな写真を撮るために、前科がつくリスクがあります。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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