「この画面だけずっと出しててほしい」
お笑いコンビ「兄弟」の紅葉さんが電車内で感じた思いを投稿しました。
投稿したのは、JR京葉線の車両内の液晶ディスプレイの写真。電車の現在地と各駅まで何分かかるか、そして電車がどこに向かっているのかが一目でわかる路線図が表示されています。
この投稿は3月6日現在、約2750万回も表示されています。多くの人から「すごくわかります」などと共感を集めました。
「この画面だけずっと出す」わけにはいかないのでしょうか。JR東日本を取材しました。
●「停車中は常に何駅か表示してほしい」数限りなく寄せられる共感
話題になった投稿からは、電車の乗客が求める視覚情報のニーズがわかります。
電車が現在どこを走っているのか、停車駅がどこなのか、次の駅は何か。こういった情報は一般的に移動においてもっとも重視されると言ってもよさそうです。
表示がわからず、停車した駅がどこかよくわからないまま一か八か「エイヤ」と降りた経験のある人は、実は少なくないのでは?
今回の投稿に対して多くの共感が寄せられました。
「ずっとそこだけ出してて欲しい 特に慣れてない路線乗ってる時毎回それ思う」
「あと停車中は常に何駅か表示してほしい」
「駅に着いたときくらいは今どこの駅か表示しろ いまどこか分からんのや」
「わかる!私もいつもそう思ってます。とくに、駅に入って扉が閉まるまで。車窓からホームの駅名が確認できる確率って、むちゃくちゃ低くないですか?」
ただ、こうした情報のほかに、停車駅のどこにエレベーターや階段があるのかといった情報や、どちらのドアが開くのかといった情報もほしいという声がありました。
相鉄いずみの線(mmm / PIXTA)
現在地情報や停車駅情報だけを表示させることはできないのでしょうか。JR東日本に聞きました。
●「写真の情報のみを常に表示することはできないと考えている」JR東日本
JR東日本によると、紅葉さんの投稿にあった液晶ディスプレイ(モニター)の正式名称は「情報提供装置」です。
ーーここにはどのような情報が表示されますか
モニター上部では現在駅や次駅、行先および号車番号等を表示し、モニター下部では主に走行路線の情報(駅名、所要時分)、次駅の情報(乗換路線、駅設備、ドアが開く方向)、運行情報および優先席案内等を表示します。
ーーモニターに映し出される情報をめぐりルールは定められているのでしょうか
国土交通省が定めている「公共交通機関の旅客施設・車両等・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン」や「公共交通機関における外国語等による情報提供促進措置ガイドライン」を考慮しながら使用する路線に応じて必要な情報を表示しています。
ーー「この画面だけずっと出しててほしい」という投稿が話題になりました。指摘のあった情報だけ常に表示することはできないのでしょうか。できないとしても、モニターを2画面に分割して対応することなどは可能でしょうか
上記のガイドラインではさまざまな情報を表示するよう記載があり、写真の情報のみを常に表示することはできないと考えております。
また、表示スペースや文字の大きさを考慮すると2画面に分割して表示することは困難であると考えております。
●高齢者、障害者、外国人など多様な立場の人が使いやすい表示が求められる
JR東日本の回答は以上となります。
国交省が定める上記のガイドラインは、公共交通の事業者が、駅や車両において、高齢者や障害者など多様な利用者の多彩なニーズに応えるための整備のあり方を具体的に示した目安とされます。
ガイドラインでは、情報提供の考え方として、「わかりやすい空間の整備を目標にして、情報コミュニケーションに制約のある人の特性と、各種情報提供設備の特性を考慮し、旅客施設、車両等において、適切な情報の内容、方法、配置等を検討し整備する」としています。
車両のモニターには「次駅停車駅名等に加え、次停車駅での乗換情報、次停車駅で開く戸の方向(左側か右側か)等を提供する」とあるほか、視覚表示には、「漢字やローマ字のほかに、かなによる表示、多言語による表示などより多くの利用者が理解できる方法で情報提供を行う」とされています。
公共交通にはさまざまな立場の人が情報を求めていることから、限られた情報を一つだけ提供すればよいというわけではないようです。