日弁連の会長選挙が2月4日にあり、小林元治弁護士(33期・東京弁護士会)が当選を確実にした。同日会見した小林氏は「コロナの中で、市民のみなさんのお役に立てる日弁連でありたい」と抱負を述べた。任期は、2022年4月1日から2024年3月31日。
小林氏は1952年1月、岡山県生まれ。津山高校、中央大学法学部を経て、1981年に弁護士登録した。名前は「もとじ」と読むが、通称は「がんじ」。趣味の囲碁はアマ4段の腕前。クラシック音楽を愛好するが、高校の後輩にあたる稲葉浩志さんがボーカルのB’zも聴く。「『Easy Come, Easy Go!』とか、すごく詞が良い。最近ほれ込んでいる」。
●法テラス報酬のアップを
実家が岡山の山奥だったこともあり、誰もが司法にアクセスできるよう、法的扶助(リーガルエイド)の分野に注力。法テラスの制度設計にもかかわった。2016年度には東京弁護士会の会長と日弁連の副会長も務めた。
会見では、若手や女性弁護士の割合が増えているとして、弁護士の業務基盤と経済基盤を固めると強調。法テラスの民事法律扶助や国選弁護について、弁護士の報酬が不合理に低い事例があるとして、「国民の権利・人権擁護に努めるとともに、持続可能性の観点から、弁護士が労力に見合った報酬を得られるよう議論していきたい」と述べた。
また、女性弁護士らの活躍機会を増やしたいとして、日弁連内にダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進室を設け、弁護士会内のジェンダーバイアスやセクハラ、パワハラを撲滅したいと構想を語った。
●懲戒請求に「実費」検討も
所属する東京弁護士会では、自身が会長時代に公表した声明をめぐり、匿名ブログを発端とする弁護士に対する大量の懲戒請求も起きた。
弁護士の不祥事については、「スピードをもって厳正に対処したい」と述べる一方、業務妨害的な濫訴も多いとして、「懲戒請求への対応は経費や事務負担もかかる。実費のようなものを少しでもいただくことができないか考えていきたい」と話した。
●最終確定は2月14日
日弁連の仮の開票結果によると投票率は43.24%。3人の候補者の得票は以下の通りで、小林弁護士は52ある弁護士会のうち39単位会でトップだった(届出順、敬称略)。最終的な結果と当選者は2月14日に確定する。
・及川智志(51期、千葉県弁護士会)3504票
・髙中正彦(31期、東京弁護士会)5974票
・小林元治(33期、東京弁護士会)8944票
今回の会長選では、立候補をうながすため納付金の返還制度が設けられた。立候補者は日弁連に300万円を納付する決まりだが、3候補とも要件を満たしたため、200万円が返還される。