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2020年04月05日 09時52分

駐車場で「ゴツン!」ショッピングカートがぶつかってきた…責任はだれに?

駐車場で「ゴツン!」ショッピングカートがぶつかってきた…責任はだれに?
実際に駐車場に放置されたショッピングカート(弁護士ドットコムニュース撮影)

スーパーやホームセンターなどの駐車場に放置されたショッピングカート。

ネット上には「置きっぱなしは危ないからやめて」「使ったら元に戻してほしい」「車にキズをつけたらブチギレ案件」などの声が上がっている。中には、カートを置きっぱなしにして去ろうとした人を注意し、「あなたが片付けなさいよ」と逆ギレされたという人もいる。

しかし、中には放置されたカートが自分の車にぶつかり、車体にキズがついてしまったという人もいる。このような場合、損害賠償を請求することはできるのだろうか。

●「気分が悪い」放置した人に損害賠償を請求できる?

ある人は車をバックしている最中に異音が発生。車を止めて確認すると、そこにはなぜかカートがあり、車体にはキズがついていた。「カートを放置する人のマナーの悪さに気分が悪い」と行き場のない怒りを感じたようだ。

また、放置されていたカートが風に煽られて自分の車にぶつかったという人は「なんで置き去りにされているの?へこみやキズがついた。でも、ぐっと堪えた」。

もし、ショッピングカートを放置した人が特定できた場合、放置した人に対して損害賠償を請求できるのか。

池田誠弁護士は「ショッピングカートを放置した場所によっては、故意または過失による不法行為が成立し、損害賠償請求権が認められる場合があると考えます。ほかの自動車に接触したり、往来を妨害したりして第三者に損害を与える事態を予想するべきだからです」と、指摘する。

●駐車場の「管理者」に責任は問える?

では、駐車場の「管理者」に責任を問うことはできるのか。池田弁護士は、つぎのように説明する。

「駐車場の契約には、駐車場の土地を借りる契約、自分の自動車を管理者に預ける契約、自動車の管理を請け負わせる契約またはこれらの複合的な契約など、具体的な当事者の契約の中身によってさまざまな類型が存在します。

どの契約の類型にあたるかによって、駐車場の管理者に期待できる注意義務の内容や程度もさまざまに理解することができます。そのため、駐車場内で起きたショッピングカートによる事故を一括りにして論じることはできません。

ただし、駐車場内で起きる事件や事故について、ショッピングセンターの管理者には、来場客の身体や財産の安全に配慮するべき義務が存在すると考えられます」

では、どのような場合であれば、前記義務に反して損害賠償責任が認められる余地があるのだろうか。

「たとえば、ショッピングカート置き場を指定しておらず、ショッピングカートが駐車場内に放置される事態を黙認していた場合です。

また、ショッピングカート置き場を指定していたとしても、これが守られていない状況を確認していながら、放置されたショッピングカートを相当時間内に撤去するなど、状況を改善していなかった場合も損害賠償責任が認められる余地はあるでしょう」

●「(管理者側は)一切責任を負いません」と書かれていたら?

スーパーなどの駐車場には「駐車場で起きた事故につきましては(管理者側は)一切責任を負いません」という張り紙などがあることが少なくない。このような表記がされているときは、管理者に責任を問うことはできないのだろうか。

「商法は、『場屋営業(じょうおくえいぎょう)者』の寄託品に対する責任について、『不可抗力』によるものではないということを証明しなければ、損害賠償責任を免れないとしています(同596条)。

『場屋(じょうおく)』とは、ホテル、飲食店など集客を目的とする場所のことです。こうした場で、損害賠償の支払いを免れるためには、管理者の故意または過失によるものではないことを証明しなければなりません。

加えて、『責任を負わない旨を表示したとき』でも責任を免れないとしています。

この規定の趣旨から、仮に『一切責任を負いません』とする条項を盛り込んだ駐車場の利用規約があったとしても、少なくとも管理者に重大な過失がある場合には損害賠償責任を追及できると考えます」

●過失相殺されてしまう可能性も…

このように、場合によっては、カートを放置した人あるいは駐車場の「管理者」に対して、損害賠償を請求できる可能性もあるということだ。

しかし、車を運転中に、放置されたショッピングカートにぶつかった場合は注意も必要だ。

池田弁護士は「運転者にも進行方向等を注視して運転をするべき義務があります。車を運転中に放置されたショッピングカートに接触した場合、この義務に違反した過失が認められる場合があります。このような場合、いずれに責任を追及するとしても、大きく過失相殺がされて請求額が減額される事態が予想されます」と話した。

取材協力弁護士

池田 誠弁護士
証券会社、商品先物業者、銀行などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済や企業や個人間の債権回収分野に注力している下町の弁護士です。

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