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牛丼屋で「代金1130円」払わずに食い逃げ お金とっていないのに強盗で逮捕
画像はイメージです(素材は「いらすとや」)

牛丼屋で「代金1130円」払わずに食い逃げ お金とっていないのに強盗で逮捕

名古屋市の牛丼店で11月5日午前3時半ごろ、飲食をした男性がレジにいた店員にナイフのようなものを突きつけ、代金の1130円を支払わずにそのまま逃走する事件が起こりました。男性は同日夜、強盗の疑いで逮捕されたそうです。

報道からは、男性が「金を出せ」と要求したかどうかは定かではありませんが、少なくともお金はとっていないようです。

男性が金を要求したのなら強盗「未遂」でしょうし、お金を求めていないなら「食い逃げ」ということになりそうです。どうして「強盗」容疑なのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。

●「食い逃げ」は法的にややこしい

ーー食い逃げは法的にどういう問題がありますか?

「食い逃げはよくありませんね。食い逃げといっても色々なものがあります。初めからお金を払う気がない場合、詐欺罪(刑法第246条1項)になります。注文する行為がだます行為にあたることになります。

一方、食事中にお金がないことに気づき逃げたような場合、ややこしいことになります。店員に気づかれずに逃げた場合、『利益窃盗』といって処罰する規定がないので犯罪が成立しません。

他方、店員に対して、『ちょっとタバコを吸ってくる』などと言って逃げたような場合、詐欺罪は成立しませんが、『うちにお金を取りに帰る』と言ったような場合、店員側に『債務免除の意思表示』(≒払わずに一度帰って良い)が認められますので詐欺罪になります」

ーー今回は強盗罪になっています

「今回のような場合、代金の支払いを免れていますので『2項強盗罪』という犯罪に該当することになります。ナイフという凶器で店員を脅し、代金の支払いを免れたということで前述の犯罪になります」

【参考】刑法236条(強盗) (1項)暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。 (2項)前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

ーー「金を出せ」と言うだけが強盗ではないのですね。もしも被疑者の男性が金目当てではなく、食い逃げ目的だったとしたら、黙って逃げることもできたと思います。凶器を突きつけたことでどのくらい罪が重くなるのでしょう。

「法定刑は全く異なり、詐欺罪であれば『10年以下の懲役』になりますが、強盗罪であれば『5年以上の有期懲役』になります。有期懲役は最長20年です。

いずれにせよ犯罪です。絶対に止めていただきたいですね」

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