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ウィシュマさん妹の「特定活動ビザ」不許可 「精神的に衝撃を受けている」
ワヨミさん(左)とポールニマさん(2022年8月3日/弁護士ドットコム撮影)

ウィシュマさん妹の「特定活動ビザ」不許可 「精神的に衝撃を受けている」

名古屋入管で昨年3月に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの妹、ポールニマさんが、短期から長期の在留資格への変更を申し立てたところ、東京出入国管理局長が8月3日、不許可としたことがわかった。

ポールニマさんともう1人の妹ワヨミさん、その代理人が同日、都内で記者会見を開いて明らかにした。ポールニマさんらは現在、ウィシュマさんの死について真相究明をもとめる国家賠償訴訟を起こしているが、その裁判への参加に影響を与えかねない事態となった。

●在留資格「特定活動」への変更が認められなかった

ポールニマさんは昨年5月に来日。当初は長期滞在の予定はなかったが、ウィシュマさんが亡くなった当時の映像や資料を渡してもらえず、真相究明もされていないため、日本に残って国賠訴訟に参加・発言している。

これまで短期滞在の在留資格を3カ月ごとに更新してきたが、今年5月の更新時、東京入管から「短期滞在の更新は今回限り」と言われたという。そのため、6月20日、長期滞在ができる「特定活動」という在留資格への変更許可を申し立てていた。

8月3日午前にポールニマさんが受け取った東京入管の通知書には、不許可とした理由について「『特定活動』への変更を認めるに足りる相当の理由があると認められません」と記されている。

●代理人「不正義がおこなわれていると強く感じる」

次回の国賠訴訟の期日は9月14日だが、ポールニマさんの在留資格は8月25日に切れてしまう。裁判に参加するには、短期滞在の更新を認めてもらうか、いったん帰国して再度入国することになる。だが、帰国後に改めて入国ビザを得るには半年ほどかかるとされる。

ポールニマさんは8月3日、東京・永田町の参院議員会館で開いた記者会見で「特定活動の許可はおりるんじゃないかと期待していました。不許可になるとは思っておらず、精神的にすごく衝撃を受けています」と述べた。

代理人をつとめる駒井知会弁護士によると、裁判に参加するという理由での許可は、過去に例があるという。駒井弁護士は「(訴訟の相手方である)国、入管が(許可するかどうか)自由に決める。不正義がおこなわれていると強く感じる」と話した。

ウィシュマさんの死をめぐっては、遺族が昨年11月、殺人被疑事件として名古屋地検に刑事告発。名古屋地検が今年6月に不起訴(嫌疑なし)としたため、8月8日に検察審査会に申し立てることとなっている。

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