外国人技能実習法の施行から3年を迎えるにあたり、その実効性について検証しようと、技能実習の問題に取り組む弁護士グループや労働組合、NPOが10月30日、東京・永田町の参議院議員会館で院内集会を開いた。
技能実習生として来日したミャンマー人が登壇して「人権侵害された」と述べるなど、今なお改善されていない技能実習制度の問題点を訴えた。
●「一分一秒でも早く廃止すべき」
外国人技能実習法は2017年11月、技能実習生の保護を図ることなどを目的として施行された。外国人技能実習機構がつくられて、一定程度、実習生を保護する仕組みはできたが、この三年間、状況は改善されていない。
この日の集会で、日本労働弁護団幹事長の水野英樹弁護士は、技能実習制度の問題点として、(1)劣悪な労働環境(低賃金・残業代未払い・長時間労働・ハラスメント)、(2)労働者からの搾取(来日のための高額の手数料)、(3)人権侵害行為(パスポート取り上げ・監禁・帰国強要)を指摘した。
移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事の鳥井一平さんによると、実習生が使い捨てになっている状況は、この三年でまったく変わっていないという。鳥井さんは「技能実習制度は一分一秒でも早く廃止しないと、社会の適正化にならない」と語った。
●「ミャンマー人はダメだ、と言われた」
登壇したミャンマー人女性(20代)は昨年6月に来日して、名古屋市のインテリア会社で働いていた。ところが、その経営者から毎日のように「ミャンマー人はダメだ」「あなたは犬みたい。犬でさえ返事ができる」などと暴言を言われたという。
また、別のミャンマー人実習生の女性が、髪をひっぱられたり、スリッパで頭を叩かれるところを目撃したそうだ。
給料は多いときで16万円、少ないときは8万円だったが、仕事の準備時間があったのにその分の給料を支払われなかったり、倉庫・コンテナみたいな寮だったのにもかかわらず、電気代月2万円、家賃月2万円を天引きされていたという。
結局、ことし6月、監理団体にかけ込んだが、そこでも「1日500円払わないと追い出す」と言われるなどしたそうだ。労働組合に相談しつつ、自分たちで探した介護の仕事に10月から就いている(特定活動)が、先行きは不安定なままだ。
●「日本をつくっていく仲間として受け入れるべき」
外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿昭一弁護士は「日本社会は、外国人労働者と共に歩む時代に突入しているが、実態は外国人労働者が使い捨てにされて、人ではなくモノとしての受け入れになっている。受け入れるからには、私たちともに職場・地域を支え、日本をつくっていく仲間として受け入れるべきだと」と話した。