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ウイグル人「強制労働」に日本企業も「加担」…国際NGOが「サプライチェーン」の調査求める
記者会見のようす(2020年8月28日/弁護士ドットコム撮影)

ウイグル人「強制労働」に日本企業も「加担」…国際NGOが「サプライチェーン」の調査求める

中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区でおこなわれているとされる強制労働をめぐり、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)は8月28日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、サプライチェーン(下請け構造)を通じて、日本企業が間接的に関与している可能性があるとして、企業などに対して、早急な対応をもとめる報告書を発表した。

・【報告書】新疆ウイグル自治区に関連する強制労働と日本企業の関与について
https://hrn.or.jp/activity/18457/

●「強制労働」に日本企業も加担している可能性

新疆ウイグル自治区では、2017年ごろから、少数民族のウイグル人が強制収容されて、中国共産党への忠誠を強制されたり、それに従わなければ拷問がおこなわれていると伝えられている。さらに、強制労働もさせられているといわれている。

オーストラリアのシンクタンクの調査報告書によると、2017年から2019年まで、新疆ウイグル自治区の約8万人が、世界的な有名ブランド83社のサプライチェーンで、深刻な強制労働を強いられており、その中には日本企業も含まれているという。

HRNは「新疆ウイグル自治区の事態を知りつつ、強制収容と一体化した同地区内外での被収容者の強制労働による生産活動がおこなわれているサプライヤーを利用していることは、深刻な人権侵害に対する加担ともいうべき重大な問題をはらんでいる」と指摘している。

●「中国政府に対して、国際人権条約の遵守の徹底をうながすこと」

日本ウイグル協会は、強制労働に関与したと疑われる日本のアパレル・電機メーカー11社に対して、4月30日付けで質問状を送付した。

このうち1社以外は回答したことから、HRNは一定の評価を示しつつも、回答内容は十分ではなかったとして、(1)調査報告書で言及されていることを調査すること、(2)一次だけでなく二次以降のサプライヤーについても調査すること、(3)客観性・実効性が担保される方法によって調査すること――などをもとめている。

日本政府に対しても、(a)サプライチェーン上の強制労働を含む人権リスクに対応することを企業にもとめる法制度について検討をすすめること、(b)国際社会で特に高い人権リスクが指摘されている国・地域に事業場関わっている企業に十分な情報提供をすること、(c)中国政府に対して、国際人権条約の遵守の徹底をうながすこと――を提言している。

NRN事務局長の伊藤和子弁護士は「ウイグル自治区に関わっていて生産されていれば、限りなくグレーなので、取引は停止すべきだと考えにもとづいています。(関連が)わからないということで取引停止にしないと、非常に深刻な人権侵害に結びついているということで、許されないと考えています」と話した。

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