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大魔神・佐々木の年俸「メジャー時代」だけで48億円、米国での納税はどうなる?
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大魔神・佐々木の年俸「メジャー時代」だけで48億円、米国での納税はどうなる?

元メジャーリーガーで元プロ野球選手の佐々木主浩氏の生涯年俸が、米シアトルマリナーズの選手として活動した4年分のみで約48億5000万円にのぼることが、8月26日にTBS系で放送された「ジョブチューン★野球VSサッカー 国民的スポーツNO.1はどっち!?SP★」で明らかになった。

番組では、現役時代には賞金を一晩で使い切り、現在の自宅にはトレーニング用の15メートルプールを完備するという、驚きの金銭事情が語られ、話題になった。

佐々木氏は、日米両国でプレーした経験があるが、メジャーリーグで稼いだ約48億5000万円については、どのような税金がかかるのか。新井佑介税理士に聞いた。

●日本で同じ金額を稼ぐよりは税金が少ない可能性も

佐々木氏のメジャーでの活躍は今でも鮮やかに私たちの記憶に残っているのではないでしょうか。現役時代、佐々木氏が登板すると「今日の試合も終わりかな」と思わせてしまうほど、素晴らしいストッパーでした。今回はそんな名選手である佐々木氏がメジャーリーガーとして活躍したアメリカの税金について考えていきましょう。

まずアメリカの個人に関する主な税金は「連邦税」と「州税」があります。連邦税とは連邦政府に納める税金であり、日本における申告所得税のような位置づけになります。一方で州税(個人所得税)は居住地及び勤務地の州政府に納める税金になります。日本の個人住民税は全国でほぼ一律ですが、アメリカでは州ごとに法律が異なりますので、当然適用される税目や税率が州ごとに大きく異なります。州税(個人所得税)自体が存在しない州もあります。

それではメジャーリーガーの申告は具体的にどのようにするのでしょうか。連邦税については、所得に対して最高39.6%の超過累進税率で計算します。一方、州税(個人所得税)については複雑になります。州毎に税制が異なることに加えて、全米各地で試合を行うメジャーリーガーの特殊な働き方が要因となるからです。

具体的は、レギュラーシーズンが年間162試合あり、うち81試合がホームのシアトルで行われますので、所得の半分はシアトルがあるワシントン州で稼いだものと考えます。そしてワシントン州には州税(個人所得税)がありませんので、年間所得の約半分については州税(個人所得税)が課税されません。ちなみにダルビッシュ選手の所属するテキサスも州税(個人所得税)が課税されないことで有名です。アウェイについては、試合地における試合数を基準に所得を配分します。配分した所得に各州の定める税率をそれぞれ乗じることで各州税(個人所得税)を計算します。

このようにアメリカの税金計算は非常に複雑です。そのため一概に納税額がわからいことが事実です。しかしながら佐々木氏の場合には、ワシントン州の州税(個人所得税)が課税されないこと、連邦税の最高税率が39.6%と日本の45%と比較して低税率であることから、日本で同じ金額を稼ぐよりは税金は少なくなっているのではないでしょうか。

所属するチームによっても税金が異なってくるアメリカ。文化や言語の違いに加えて税制の違いにも柔軟に対応して、これからも益々日本人メジャーリーガーが活躍していって欲しいですね!

【取材協力税理士】

新井 佑介(あらい・ゆうすけ)公認会計士・税理士

慶応義塾大学経済学部卒業。金融調整から新設法人支援、法定監査まで幅広く全力でクライアントをサポート。趣味はサーフィンとスノーボード、そして登山。好きな言葉は「変わり続ける勇気」

事務所名   : AAG Arai Accounting Group / 経営革新等支援機関 新井会計事務所 

事務所URL: http://shozo-arai.tkcnf.com/pc/

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