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「ゲリラ植樹」街路樹の植え込みで花を育て、公園に木を植えたい! 法的な問題は?
写真はイメージです(YUMIK / PIXTA)

「ゲリラ植樹」街路樹の植え込みで花を育て、公園に木を植えたい! 法的な問題は?

花や植物に情熱を燃やし、ガーデニングを趣味にしている人は多い。しかし、趣味が高じて私有地ではない場所に花を植えたり、植樹をしたりして、トラブルに発展することもあるようだ。

インターネットのQ&Aサイトには、「街路樹の植え込みで花を育てているのですが、犬を飼っている中年女性に『ここは市の土地だから勝手に使うのは違法だ』と言われてしまいました」という質問が寄せられている。花にかぎらず、公園に木を植樹したいという声もあった。

植え込みや公園など、私有地ではない場所に花を植えたり、植樹をしたりすることはネット上では「ゲリラ植樹」とも呼ばれているが、法的な問題はないのか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●法的な問題はあるのか?

「私有地以外の場所に花を植え、植樹することが、原則として許されないわけではありません。なぜなら、植樹をすることが直ちに他人の権利等を害することにはならないし、その土地の公共性を害するわけではないからです。

したがって、ご相談にあがったような程度であれば、禁止されることはほとんどないと思われます」

逆に認められない場合とは、どのようなケースがあるのだろうか。

「植樹が許されない場合としては、植物の種類によることが考えられます。たとえば、大麻を栽培することが禁止されるのは当然ですし、特定外来生物に当たるような場合も、栽培は禁止されています(罰則あり)。

場所による規制として、たとえば、道路に接している緑地帯での植栽が、信号や道路標識などの支障となる場合には、道路交通法上の禁止行為(法76条)に該当する可能性があると思われます。このような事態を予見しながら、あえて植樹をしたときは、刑事罰が科されるかもしれません。

さらに、自治体によっては条例で、緑化の保全地域などを指定していることもありますが、そのような地域では、植樹が緑地の保全に影響を及ぼすおそれがあるとされる可能性もあります。このような場所における植樹は、法律的には許されないでしょう。

ただし、個人的な小規模の植樹まで罰則をもって禁止している法律・条例を知りません」

●公園では?

では、公園など管理者がいる場所ではどうだろうか。

「たとえば公園などで、もともと決められた種類の花が植えられている花壇の空きスペースに自分の好きな花を植えたりする行為は、公園管理者の権限を害する行為となる可能性があります。

このような場合、植樹が直ちに禁止されるとは言えませんが、あなたに管理権があるわけではない以上、植栽を管理者によって除去されても文句は言えないでしょう(管理者の除去できる理屈としては、植樹されたものは土地の一部となってしまうから、と考えることができます)。

一般的には、私有地以外の場所に花を植えたりするのであれば、他の人の迷惑にならない場所をえらんで、その程度を考慮してなさるべきだと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

尾崎 博彦
尾崎 博彦(おざき ひろひこ)弁護士 尾崎法律事務所
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員

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