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2013年10月24日 11時55分

1年間で30万件もある「いたずら110番」 どんな罪になるのか?

1年間で30万件もある「いたずら110番」 どんな罪になるのか?

110番といえば警察に「緊急通報」をするためのものだが、世の中には誤解をしている人もいるようだ。「暇だったからかけた」「家に出たゴキブリを退治してほしい」といった、身勝手ないたずら110番が、全国的に後を絶たないという。

報道によると、2012年にあった110番通報は約175万件。そのうち、いたずらが約30万件もあったという。中には「人を殺した」「乗用車を盗まれた」といった、悪質な虚偽通報も含まれていたようだ。また、今年8月には、1年半で約2万8000回に及ぶ「いたずら110番」をした容疑で男が逮捕されている。

警察も苦慮するこうした「いたずら110番」だが、いったいどんな犯罪に該当する可能性があるのだろうか。中谷寛也弁護士に聞いた。

●「軽犯罪法違反」か、刑法の「偽計業務妨害罪」か

「まず、『軽犯罪法』という法律に違反することになりますね」

と中谷弁護士は解説する。軽犯罪法にはさまざまな規定があるが、どの条文が問題になるのだろう。

「具体的には、軽犯罪法の1条16号の『虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た』、あるいは31号の『他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した』という条項に該当することになります。

もっとも、この軽犯罪法に違反するだけでは、『拘留又は科料』という、とても軽い刑罰しか定められていないこともあり、同種の犯罪を何度も繰り返し行ったような人でない限り、実際に起訴されて処罰がなされるということは滅多にないと思います」

「拘留」とは最長29日間、刑事施設に拘置するという刑だ。一方、「科料」とは1000円以上1万円以下を徴収する刑罰のことである。だが、度が過ぎるとこれだけではすまない。

「ただ、いたずらも度が過ぎると、軽犯罪法ではなく、刑法の233条『偽計業務妨害罪』にあたると判断されて、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります」

偽計業務妨害罪とは人をあざむくような計略をもって業務を妨害する犯罪だ。特別な事情がなければ逮捕まで至らないことが多い軽犯罪法違反と違い、偽計業務妨害罪では逮捕されることも十分にありうる。

●「いたずら110番」で逮捕される可能性もある

では、軽犯罪法違反となるか、刑法の偽計業務妨害罪に当たるかの境目はどこにあるのだろうか?

「軽犯罪法と刑法のどちらの罪として処罰されるかは、そのときの警察・検察・裁判所の判断になりますので、何ともいえないというのが現状です。『違法性の程度の低い場合』には軽犯罪法の適用にとどまるという判例もありますが、これは要するに『あまり悪くない場合には軽犯罪法が適用される』と言っているにすぎず、どのような場合に悪いと判断されるかどうか、一律の基準を示したものとはいえません」

明確な基準はなく、ケース・バイ・ケースだということだろう。

「おそらくですが、『暇だったから』とか『ゴキブリが出た』くらいなら、明らかにイタズラ、あるいは慌ててかけてしまったものとわかりますから、同じようなものを何度もかけたような場合でなければ、たとえ問題になったとしても軽犯罪法の適用にとどまる可能性が高いのではないかと思います。

しかし、そうした通報でも、何度も行って110番の担当者をかかりきりにさせたり、あるいは『人を殺した』とか『車を盗まれた』という、いわば犯罪事実があったという110番の通報をすれば、よほどのことがないかぎり、警察は嘘とは判断せず、とりあえずは本当の通報だと仮定して、実際に警察官が動くことが通常です。

こうなれば、警察の業務がそのいたずら電話によって相当程度妨害されることになるでしょうから、『あまり悪くない』とはいえない、つまり刑法上の偽計業務妨害罪が成立することになるのではないかと思います。今回、2万8000回のいたずら電話をして逮捕された人も、これだけ多くの通報をして、110番の担当者が通常の業務ができなくなったということが理由で、偽計業務妨害と判断されたようです」

つまり、単なる「いたずら電話」でも、懲役刑のある偽計業務妨害罪が適用されてしまう可能性が十分にあるのだ。安易な気持ちでかけた電話が、人生を左右するような重大な結果になってしまいかねない。くれぐれも、いたずら110番はやめておこう。

(弁護士ドットコムニュース)

中谷 寛也弁護士
得意分野は企業法務、著作権、不動産、相続・離婚、刑事事件など。弁護士に対する敷居の高さを解消し、多くの人がなるべく気軽に相談できるよう、初回の法律相談は案件を問わず1時間まで無料としている。
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