富山県射水市の書店の金庫から現金を盗んだとして、従業員の男性が9月21日、窃盗容疑で逮捕された。男性は胸にけがをして病院に行っていたが、自作自演だったことが判明した。
報道によると、男性は現金などを盗んだ後に店に戻り、自ら胸を切って被害者のふりをした可能性があるという。警察は当初強盗傷害事件として捜査していたが、けがの程度が軽かったため男性に詳しく事情を聞いて発覚した。
今回のように、事件や事故に関して「実は嘘でした」といった場合、そのこと自体も何かの罪に問われる可能性があるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。
●嘘の内容によっては犯罪となることも
「実は嘘でした」というのは、許されないのか。
「裁判や捜査に対して嘘をつくことを禁止しないと、適正な裁判や捜査を確保することができません。そのため、嘘の内容によっては犯罪となります。
例えば、裁判で嘘の証言をすると偽証罪となり、嘘の証拠を作りだすと証拠偽造罪となります」
嘘の犯罪を通報した場合は、どうなるのか。
「嘘の犯罪を通報した場合には、虚偽告訴罪が成立する場合があります。ただし、虚偽告訴罪が成立するためには、他人に刑事処分等を受けさせる目的が必要です。
例えば、元従業員のAさんが犯人だと警察に申告する場合、犯人を特定していますので虚偽告訴罪が成立しますが、犯人が誰か分からないと申告した場合には、虚偽告訴罪は成立しません」
今回の容疑者は自作自演だったようだ。
「自作自演で、犯人を特定しなかった場合にも、警察が不要な捜査をすることになるため、偽計業務妨害罪が成立することがあります。
また、軽犯罪法には、虚構の犯罪を公務員に申告した場合に処罰する旨の規定がありますので、軽犯罪法違反が成立することがあります」