13歳の息子が、親の財布から金を取ってネットゲームで課金していた・・・。そんな内容の書き込みが、ネットの掲示板に投稿された。親が買い与えたスマホで、人気ゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」に金をつぎこんでいたという。
年齢から中学生と思われる「息子」は、父親の財布から1000円ずつ抜き取っていたようで、発覚したときは、総額で2万円に達していた。投稿者は妻と話し合い、息子に「ゲームのデータ消去とスマホ3ヵ月間没収の刑」を科すことにした。
しかし、本来なら人の物を盗むこと、つまり「窃盗」は、懲役刑を科されることもある犯罪だ。家族間で金を盗んだ場合も、犯罪になるのではないのだろうか? 東山俊弁護士に聞いた。
●家族間で物を盗んだら犯罪にならないの?
「まず、家族間で物を盗んだ場合でも『窃盗罪』となります。しかし、14歳未満の者の行為は犯罪になりません。このケースで盗んだのは、13歳の息子さんですから、犯罪として罪に問われることはないのです」
東山弁護士はこのように説明する。では、子どもが14歳以上の場合はどうか。
「『窃盗罪』が成立します。ただし、刑法には『親族相盗例』という規定があり、被害者が夫や直系血族(祖父母、両親、子ども、孫など)、同居の親族の場合は、刑が免除されます。そのため、『窃盗罪』で処罰されることはありません。
家庭内の問題は、法律で解決するよりも、家庭内で解決するほうがいいという考えから、このような規定が設けられています」
●「少年審判」で処分される可能性も
そうすると、家庭内で子どもが盗みを働いても、全く処分を受けないのだろうか。
「子どもが成人している場合には、処分を受けません。しかし、子どもが成人していない場合には、『親族相盗例』と関係なく『少年審判』を行うことができます」
この「少年審判」とは、非行を犯した少年に対して、非行の内容や個々の少年の問題性に応じた適正な処分を選択するための手続だ。親や教師の同席のもと行われ、少年の反省の程度などによって、「不処分」「児童相談所に送る」といった決定がなされる。
「実際にはほとんどないでしょうが、『少年審判』により、『保護観察』や『少年院送致』といった処分がされることもあり得ます。なお、10歳くらいになれば『少年審判』を行うことが可能と考えられていますので、13歳の息子さんにも、処分がされる可能性があります」
東山弁護士はこのように述べていた。