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私人逮捕系YouTuberの「やり過ぎ危険行為」にJR東日本が警鐘「駅や車内の秩序を乱す行為は止めて」
ガッツch「【階段から転落】忍者のような身体能力と不屈の精神を兼ね備える痴漢に実力行使した」から(https://www.youtube.com/watch?v=z-4bszXco-8)

私人逮捕系YouTuberの「やり過ぎ危険行為」にJR東日本が警鐘「駅や車内の秩序を乱す行為は止めて」

痴漢や転売ヤーなどを自警団のように取り締まる動画を配信する「私人逮捕系YouTuber」の活動が賛否を呼んでいる。

弁護士ドットコムニュースではこれまで「私人逮捕系YouTuber」が抱える法的問題を何度か指摘してきた。

鉄道事業者はどのように捉えているのか。JR東日本は取材に「周囲のお客さまに危険が及ぶ行為など、駅や車内の秩序を乱す行為はお止めいただきたく存じます」と警鐘を鳴らした。

●混み合う駅の中の逃走、あわや階段で転落

私人逮捕系YouTuberの動画は、「加害者」による犯行の様子や、身柄を拘束して警察に引き渡すまでを撮影したもので、「スカッとする」といった肯定的な意見も寄せられる一方、その多くは批判的なものだ。

特に物議を醸したのは、代表的なチャンネルの一つが10月に公開した動画だった。

JR埼京線で痴漢したとして、YouTuberが男性を追い詰めていく内容だ。最終的に駅構内を逃げ回る男性を組み伏せたが、その最中で揉み合った男性が階段で転倒した。一つ間違えば当事者だけでなく、ほかの駅利用者も巻き込み、大ケガをするおそれがあっただろう。

ほかのチャンネルの動画では、盗撮したとされる男性を取り押さえる際に高齢女性にぶつかる事態となった。

●JR東は「危険で秩序乱す行為やめて」「撮影・配信が新たなトラブルにつながる」

鉄道事業者は私人逮捕系YouTuberの活動をどのように受け止めているのだろうか。動画が撮影されたJR東日本は弁護士ドットコムニュースに回答した。

——電車・駅構内での「私人逮捕系YouTuber」の活動をどのように捉えていますか

周囲のお客さまに危険が及ぶ行為など、駅や車内の秩序を乱す行為はおやめいただきたく存じます。

また、プライバシーに関わるほか、お客さま同士のトラブルにも繋がるため、他のお客さまが映るような撮影、またその動画の公開についてもおやめいただきたく存じます。

——電車内や駅構内の撮影・配信のルールを教えてください。このルールはYouTuberの活動を規制するものでしょうか

個人的な趣味等での撮影に関しては、安全上の問題があり、ほかのお客さまのご迷惑になると判断される場合は、撮影をやめていただくようお願いしております。

配信は、当社が行うものでもないため社内でルールは定めておりませんが、収益性のある動画共有サイトへの投稿など個人の営利活動における弊社保有施設内での各種撮影はご遠慮いただいております。

なお、法人としてのお取組みの場合は、内容によりご相談をお受けすることが可能です。

●名誉毀損や暴行などの罪に問われる可能性も

こうした動画では、「犯人」であっても、本人を特定できる形で動画を公開すれば、名誉毀損罪が成立する可能性がある。また、さまざまな要件を満たさない「私人逮捕」が暴行罪などに該当する可能性もありえる。

弁護士ドットコムニュースの記事【痴漢を私人逮捕してYouTubeにアップしたい! 勝手パトロールの法的問題

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