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2012年11月27日 14時08分

ストーカー規制法は改正が必要か

ストーカー規制法は改正が必要か

今年11月に発生した神奈川県逗子市のストーカー殺人事件をうけて、電子メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)への書き込みも規制対象に加えるストーカー規制法の改正案が、近々国会で検討される見込みであると報じられている。

ストーカー規制法の施行からおよそ12年が経過しているが、はたしてストーカー規制法の改正は必要かどうか、弁護士ドットコムに登録する弁護士に見解を聞いてみた。

このニュースに対する弁護士の回答

※2012年11月15日から2012年11月23日での間に集計された回答です。

アンケート結果

  • 投票1 ただちに改正するべきである

    10

    • 矢野間 浩司弁護士
    • 渡邊 森矢弁護士
    • 秋山 直人弁護士
    • 林 豊弁護士
    • 木下 貴子弁護士
    • 波多野 寿哉弁護士
    • 前川 直輝弁護士
    • 鈴木 祥平弁護士
    • 湯川 二朗弁護士
    • 川崎 政宏弁護士
  • 投票2 将来的には改正を検討するべきである

    15

  • 投票3 改正する必要はない

    1

    • 稲野 正明弁護士
  • 投票4 どちらともいえない

    3

    • 山下 博行弁護士
    • 池田 宏弁護士
    • 居林 次雄弁護士

回答一覧

回答の絞込み

投票:将来的には改正を検討するべきである

立法当時には、電子メールが普及していなかった。立法当初には予定していなかったストーカー行為が存在する。今回のケースは、何らかの対応をすべきだったと思われる。

今回のケースで、メールの内容は、「面会、交際その他義務のないことを行うことを要求している」内容ではなかったのか。もし、要求していれば、メールであろうと、手紙であろうと、ストーカー行為に該当する。

メールを多数回送信したことで、ストーカー行為として処罰することには反対である。
それは、罰される行為の範囲が拡大されることにより、本来処罰されるべきではない(処罰しなくても良い)行為も、対象となってしまう。

現在禁止される行為は、8つの行為が該当する行為となっているが、基本的には直接的な行為・行動であるが、電子メールはこれを受信拒否したらおしまいである。
今回の事件で、防げなかったからと言って、むやみやたらに処罰範囲を広げることには反対であり、十分な議論を行った上で、改正すべきである。

2012年11月15日 18時43分

回答番号 57
投票:将来的には改正を検討するべきである

ストーカー規制法は、同一の者に対し、つきまとい等を繰り返し行うことを「ストーカー行為」としており、「つきまとい行為」として「8つの類型」を規定している。このうちの1つに「無言電話、連続した電話・ファクシミリ送信」が規定されているが、そこには「電子メール」が含まれていない。

報道によれば、逗子市の事件では、約20日間に1000通以上の「別の男と結婚するのは契約不履行。慰謝料を支払え」等の内容のメールが送られたものの、これを警察が規制の対処にできなかったことが問題とされたようである。しかし、他の類型として「監視していると告げる行為」「面会・交際・その他義務のないことを行うことの要求」「乱暴な言動」「名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」「性的羞恥心を害する事項を告げること等」等の類型もある。これらの類型については、その「手段」が「メール」であることも当然あり得るのである。

「無言電話、連続した電話・ファクシミリ送信」というのは「形式面」から「つきまとい」を類型化したものだが、上記の他の類型は「内容面」から「つきまとい」を類型化したものである。逗子の事例において、「形式面」からの類型に該当しなくても、別の類型に該当しないのか、警察が慎重に判断したのか、やや疑問である。

とりわけ、逗子の事例では、容疑者については既にストーカー規制法による警告を受けたり、脅迫罪で立件され有罪判決を受けて数ヶ月後に多数のメールを送っていたとのことなので、別の類型に該当するか否かの判断は、このような経緯を踏まえて判断しなければならなかった筈である。また、婚約不履行による慰謝料請求を内容とするメールであったとのことであるが、明らかに婚約が成立していないのなら、当該メールは「義務のないことを行うことの要求」に該当した可能性もあるだろう。

電子メールやSNSへの書き込みは、誰でも容易に実行でき、また、電子メールは受ける側でも電話・ファクシミリに比すれば対処は容易だろう。そうすると、真に現行法で対処仕切れないのか、新たな法規制を創設する必要性があるのかは、慎重に検討する必要性があるだろう。

2012年11月17日 12時16分

回答番号 58
投票:将来的には改正を検討するべきである

成立当時は、「電子メールやソーシャル・ネットワーキング・サービスへの書き込み」は想定されていなかったが、現在は、広くこれらも社会的に問題になる以上、規制対象に含めることも検討すべきでしょう。

確かに受信拒否での拒絶も考えられますが、メールの変更は比較的容易であり、特に悪質なストーカーほど、手をかえ、被害者を追い詰めると思います。

なお、それとは別の問題ですが、偽装ストーカー的な申し出(例えば、女性が男性からお金を借りて、返金を求めた途端に、相手男性をストーカーと主張し出すなど)の相談を受けることも良くあります。

安全を確保するためにストーカーへの早急で広範な規制は、必要だと思いますが、ストーカー申出が虚偽と判明した場合の、偽造被害者への厳しい処罰も必要かと思います。

2012年11月18日 09時57分

回答番号 59
投票:どちらともいえない

新しいメヂアなどの出現で、時代に対応した改正は必要ですが、規定の仕方によっては、表現の自由を侵す恐れもありますから、改正には慎重であるべきです。

現在では、ストーカーと称して、正当な権利行使を妨げたり、犯罪となるべきところをストーカーを装ったとして、逃げ隠れする弊害もありますから、そのような乱用を防止することも必要です。したがって、改正には慎重であるべきです。

2012年11月20日 05時31分

回答番号 60
投票:将来的には改正を検討するべきである

現行法でも、「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること」や「著しく粗野又は乱暴な言動をすること」がメールの内容に含まれている場合には、ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)第2条第1項の「つきまとい等」に該当しうるかとは思います。また、強要罪、脅迫罪等で対応できる場面もあるかと思います。

もちろん、ストーカー規制法第2条第1項第5号(「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。 」)に電子メールやSNSが規定されていませんので、運用面で警察当局が消極的な態度を示すことはあるかもしれません。そのため、メールやSNSが普及した社会状況の変化に対応した改正はあってもよいかとは思います。

ただ、法改正だけではなく、運用面での改善も必要かと思います。むしろ、既に発生してしまったストーカーの被害拡大を防ぐには、運用面の改善の方が重要かと思います。

また、ストーカーに対する対応は、何も刑事的な対応「だけ」ではないかと思います。

加害者の行為があまりにひどく人格権侵害といえる場合には、人格権侵害を理由として民事的な請求(接触禁止の仮処分等)を求め、裁判所の仮処分決定等に加害者が違反した場合には、民事的な救済(間接強制)や、警察へのアプローチ等がありえるところです。

ストーカー規制法「だけ」がストーカー被害に対する救済手段ではないことについては、もう少し世間で知られてもよいかとは思います。

あと、「つきまとい等」に該当するためには、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要です。

「つきまとい等」の対象行為を客観的に広げた場合には、この主観面の「絞り」を適切に加えないと、適法な権利行使のために連絡を試みる行為が制約される(要するに、ストーカー規制法が悪用される)等の弊害が生じます。法改正をする場合には、バランスをとった議論が必要かと思います。

2012年11月21日 17時36分

回答番号 66
投票:ただちに改正するべきである

ストーカー規制法は直ちに改正する必要があると考えますが、【警察の対応の不備の問題】と【法律の不備の問題】を混同してはならないと思われます。

今回のケースは、十分現行法でも対応をすることが出来た事案です。法律の不備の問題にすり替えることで警察が責任を免れようとしていることはとても残念です。今回の事件においては、「婚約不履行による慰謝料請求を内容とするメール」については、婚約が成立していないことが明らかであるのだから、メールは「義務のないことを行うことの要求」に該当する可能性が高い。既に有罪判決を受けているという事情を踏まえれば、警察としては直ちに対応をするべきであった事案です。

今回の問題は、【法律の不備の問題】ではなく、【法律の実施体制の不備】であると思われる。いくら法律を定めたとしても法律の実施体制(運用体制)が十分でなければ、法は活きたものにはなりません。

【警察の対応の不備】については追及すること簡単にできますが、現状のように何でも書面にすることを要求する刑事司法実務の下では、警察の人員の問題もあり、十分な対応をすることはできないと思われます。法律改正だけではなく、法律の運用体制を充実させること(警察の人員拡充や過剰に書面を要求する刑事司法実務の改善)が大事であると思われます。

ただ、メールが現代社会において電話やFAXと同様に用いられるツールである以上、メールを規制対象にしていないという点については、問題があるように思えますので、規制対象にするべきでしょう。

ただ、法律の改正をする際においても、警察という権力が介入する要件を明確にかつ限定的に定めておくべきであると思います。ストーカー問題という社会的不安を背景にして警察にフリーハンドをもたらすのは反対です(社会的不安が強くなればなるほど、警察に何でも委ねることに流れがちです。ただ、警察も権力ですから民意によって縛り(法律要件の明確化・限定化)を架けておく必要があります。)。

要件の明確性・限定性をきちんと吟味をした改正にするべきであると思います。

2012年11月21日 18時06分

回答番号 69
投票:ただちに改正するべきである

連続して電話・ファックスすることがつきまといにあたるのであれば、電子メールも規制されてしかるべきではないでしょうか。

確かにどのような事項を告げているかという内容面でのアプローチで対処できるではないかとか、受信拒絶すればいいではないかとか、表現の自由の規制は最小限度であるべきだというのは理解できますが、「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること」という形式面の構成要件がすでに定められている以上、電子メールという、今日最も一般的に利用されている通信方法をも規制対象とすべきではないでしょうか。

無言・拒否されているのに連続メールを送信することは何ら法的保護に値する行為ではないのですから、これを将来的課題にするのはいかがなものかと思います。

2012年11月21日 20時01分

回答番号 75
投票:ただちに改正するべきである

取り返しのつかない事件が発生したなか、法の不備を早急にととのえるうえで、電子メールやSNSへの書込みも規制対象に加えることは必要と考えます。

ただ被害者支援の現場で、ストーカー規制法はこれまで十分機能していなかったように思います。DV防止法以後は、夫婦間の脅迫や暴力的接触は、保護命令により禁止できるようになりましたが、交際中の男女間や、親子間、親族間の脅迫や暴力的接触をくいとめることに警察はなかなか動きが鈍かったと思います。

ストーカー規制法は、あくまで「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要なので限定的なのは当然であり、脅迫や暴力の恐怖にさらされている被害者を必ずしも十分守るものとはいえません。

警察が介入しすぎることは好ましいことではありませんが、暴力や脅迫の恐怖にさらされている被害者への警察対応はもっと踏み込んだものであってほしいと願います。

2012年11月22日 20時40分

回答番号 85

編集後記

弁護士ドットコムニュース編集部

ストーカー規制法の改正が必要かどうかについて、弁護士の見解で最も多かったものは「将来的には改正を検討するべきである」であり、約半数の弁護士がこの見解を示す結果となった。

 

この見解を示した弁護士からの意見で目立ったのが、同法の改正については議論の余地があるとしながらも、「今回の逗子市の事件では現行法でも対応できたのではないか」というもので、条文にメールやSNSについて明記されていなくとも、その内容が実質的にはつきまとい行為ならば規制の対象になったのではないかとして、警察の対応の不備を問う声が上げられた。

 

次いで多かったのは「ただちに改正するべきである」とするもので、3割強の弁護士がこの見解を示した。この見解を示した弁護士からは、電話やFAXが規制対象であるならば当然メールも対象にすべきだという意見が上げられたが、こちらの立場からも警察の対応の不備を問う声があり、必ずしも法改正だけでは解決しない課題があることが浮き彫りになった。

 

ストーカー規制法については、先日にもDV被害を受けた女性を支援するNPO法人などの45団体が改正を求める緊急声明を出すなど、改正を求める声が徐々に高まっており、今後国会で具体的な検討がなされるのか注目したい。

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