国選弁護の報酬が低いとして、全国52の弁護士会が相次いで改善を求める異例の事態となっている。
日本弁護士連合会(松田純一会長)は9月29日、すべての単位会による会長声明が出そろったことを受け、抜本的な改善を求める会長声明を発表した。
翌9月30日の記者会見では、日弁連の国選弁護本部長代行をつとめる吉川健司弁護士らが「国選登録をやめるなどで担い手が足りなくなり、その結果として、当番弁護士制度や被疑者国選の運営が困難になっている」などとうったえた。
●約20年間「抜本的な改善が行われないまま」
日弁連の声明は「基礎報酬を含む国選弁護報酬体系の基本的な枠組みは、法テラス設立当初から大きく変わっておらず、約20年もの間、抜本的な改善が行われないままだ」と指摘。
これまで日弁連は独自予算で援助制度をつくってきたが、「これらの費用は本来、国費により賄われるべきもので、その負担を当連合会の会費等に委ねることは、刑事司法制度の在り方として本来あるべき姿ではない」と強調。
そのうえで「基礎報酬を大幅に増額するなど、弁護活動の実態に見合う適正な水準に引き上げる必要がある」と求めた。
●全52弁護士会が相次いで声明
国選弁護報酬をめぐっては、2025年12月の茨城県弁護士会を皮切りに、全国の弁護士会が相次いで改善を求める会長声明を発表。今年9月2日までに、全52単位会が出そろった。
各地の声明では「現行の報酬基準は、高度の専門性が求められ、多大な時間と労力を要する弁護活動の実態に見合わない著しく低廉な水準にとどまっている」「弁護士の使命感に依拠した制度運営の実態が今後なおも続けば、国選弁護活動の担い手の確保が困難となり、ひいては制度自体が揺らぎかねない」などの懸念が示されている。
とりわけ深刻なのが地方だ。刑事施設や留置施設の統廃合・集約化が進められている地域では、弁護人が接見や公判への出廷のために遠距離を移動しなければならず、その負担が増しているという。
●地方では「担い手が減少しつつある」
吉川弁護士は会見で「そもそも地方への新規登録が減っており、高齢化などで国選弁護の担い手が減少しつつある」と説明した。
全国すべての単位会から同じ問題について声明が出そろうことは珍しいとして、吉川弁護士は「増額が必要だと世に広く訴えていきたい」と話した。