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ルンバみたいな「電動一輪車」で横断歩道をスイスイ 「道交法違反」にならないの?
ツイッターに投稿された動画のキャプチャ

ルンバみたいな「電動一輪車」で横断歩道をスイスイ 「道交法違反」にならないの?

「天神にルンバを乗りこなす人おった笑」。福岡市の繁華街で、電動掃除機「ルンバ」を縦にしたような楕円形の物体に乗った男性がさっそうと青信号の横断歩道を渡っていく動画がツイートされ、「乗ってみたい!」と話題になった。

実は、男性が乗っていたのは「Ninebot One(ナインボットワン)」という電動一輪車。乗っている人の重心移動でコントロールができる近未来的な乗り物だ。バッテリー充電で約1〜2時間の走行が可能で、最高時速は約15km/hだという。

公道で乗りこなしてみたいという人もいるだろうが、公式サイトを見ると、「日本での公道走行は禁止されています」の注意書きがある。電動一輪車を公道で乗ると、法律違反になってしまうのだろうか。道交法に詳しい平岡将人弁護士に聞いた。

●電動一輪車は「車両」それとも「遊戯具」?

「道交法違反になるかどうかは、電動一輪車が『車両』に該当するのか、単なる遊戯具なのかという点がポイントになるでしょう。

車両に該当すると、自転車などの軽車両を除いて、運転免許が必要になります。また、歩道を走行できないなどの道路交通法の義務、自賠法の保険加入義務、車両運送法上の車両保安基準(灯火や計器類、方向指示器など)を備える義務などにしたがう必要があります。こうした義務に違反すると、罰則が科される可能性があります。

一方、遊戯具ということであれば、『交通のひんぱんな道路』での使用は禁じられます(道交法76条4項3号)が、それ以外では使用できることになります」

両者は、どんな基準で判断すればいいだろうか。

「両者の違いは、身体や生命を危険にさらす車両は、自賠責法や道路交通法、車両運送法などの法律を適用し、安全を確保して事故発生の危険を減らすとともに、公道利用者の利益(安全や賠償確保など)も保護すべき必要があります。

そのため、その法規制を及ぼす必要があるかどうかを構造や利用実態、利用方法などから遊戯具なのか、車両なのかを判断しています」

●公道や歩道で利用すると、道交法に違反する可能性が高い

では、電動一輪車についてはどう考えればいいだろう。

「たとえば、キックボードと呼ばれる乗り物があります。人力で走行するので『軽車両』に該当しそうですが、遊戯具であるとされます。一方で、電動キックボードについては、車両である原動機付き自転車であると考えられています。

電動一輪車は、その使用実態は、車両というよりも、スポーツ用具あるいはローラースケートに類する遊戯具に非常に近い形で利用されると思われます。

しかし、最高時速が15キロまで出るなど、かなりの高速度であり、対象年齢が16歳と高めに設定されています。こうしたことからすると、やはり使用者自身や公道利用者の安全を確保する要請が働く『車両』にあたるというべきではないでしょうか。

出力の程度によって、自動車あるいは原付自転車のどちらかに該当する可能性があるでしょう。

したがって、公道で走行するためには、先ほどの基準を満たす必要がありますが、形状から見る限りでは、保安上の安全基準を満たしているとは考えられません。

公道や歩道を走ることは道交法に違反すると判断される可能性が高いでしょう」

平岡弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

平岡 将人
平岡 将人(ひらおか まさと)弁護士 弁護士法人サリュ銀座事務所
中央大学法学部卒。全国で10事務所を展開する弁護士法人サリュの前代表弁護士。主な取り扱い分野は交通事故損害賠償請求事件、保険金請求事件など。著書に「交通事故案件対応のベストプラクティス」ほか。実務家向けDVDとして「後遺障害等級14級9号マスター講座」「後遺障害等級12級13号マスター講座」など。

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