NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は9月5日、法律で規制されている「児童ポルノ」と疑われるDVD作品が販売されている実態をまとめた調査報告書を公表し、都内で記者会見を開いた。今後、政府や警察などに対策強化を働きかける。
●秋葉原周辺の店舗を調査
今回の調査は、HRNのチームが2015年5月から2016年5月にかけて、東京・秋葉原周辺の店舗で販売されている作品や、インターネット上で流通している作品について調べた。「小●生13人 全部見せスペシャル」「6年生 本物ロリータビデオ」「下校中の小●生を拉致って生ハメ集団レイプ」などとパッケージに書かれた作品がみつかった。
少女の氏名・年齢はあきらかではないが、パッケージにある「少女であること」を強調した宣伝文句や、出演者の体型などから、「児童ポルノである疑いが高い」という。また、DVD作品などを小児科医に提供して、年齢に関する照会を求めたところ、顔つき、筋肉の付き方、骨格、乳房の発育、陰毛の発達などから、小学校高学年や中学生である可能性が高い人物が出演する作品が含まれていたという。
●「法律が絵に描いた餅になっている」
この日に記者会見に出席したHRNのメンバーが、特に問題視したのは、いわゆる「3号ポルノ」といわれるものだ。
児童ポルノ禁止法2条3項3号は、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部また胸部をいう)が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの」を児童ポルノとして規制している。
いわゆる「着エロ」と呼ばれる作品がある。衣服または、下着や水着をきたままの状態で卑猥なポーズをとり、性器を強調した撮影がおこなわれているものだ。成人が出演者になることもあるが、中にはジュニア・アイドルであることを明記して、18歳未満の年齢を示した作品がある。HRNによると、こうした作品の中に「3号ポルノ」として疑われるものがあるという。
HRN理事の雪田樹理弁護士は「『3号ポルノ』に関する認識が十分に徹底せず、あたかも着エロ、イメージビデオというジャンルであればOKなコンテンツとの認識が広がっている」と指摘。その原因・背景として、出演者の年齢はあきらかでないため警察が取り締まりをおこなっていないことや、18歳未満が出演するコンテンツや「3号ポルノ」についてのチェック体制に不備があることを挙げた。
今回の調査を通じて、雪田弁護士は「児童ポルノと疑われるものが販売、流通している現状が放置されている日本社会に問題があると感じた」という。HRN事務局長をつとめる伊藤和子弁護士は「(合法だけど)出演者が児童にみえるポルノがたくさんあることが状況を難しくしている。あきらかに犯罪を誘発するものもあり、社会的な影響も大きい」「法律が絵に描いた餅になっている」と話した。