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店員に「ガチャマシン」開けてもらい、レアな「妖怪メダル」ゲット! そんなのアリ?
「妖怪メダル」が人気を集めている

店員に「ガチャマシン」開けてもらい、レアな「妖怪メダル」ゲット! そんなのアリ?

「知り合いに従業員がいるとこういう事ができていいデスネー」。そんな文章とともに、子ども連れとみられる女性が、「ガチャガチャ」のマシンの中身を物色する様子を撮影した画像がツイッターに投稿され、「不正入手ではないか」と話題になった。

投稿者によると、場所は関東のショッピングモール。従業員と思われる私服の人物がアニメ「妖怪ウォッチ」の人気アイテム「妖怪メダル」が入っているガチャマシンを鍵で開け、中身を全部出して、母親と子どもに好きなものを選ばせていたそうだ。妖怪メダルのガチャガチャには、なかなか出ないレアなメダルがあるが、そうした「レア物」ばかりを選んでいたという。

状況の真偽が不明な点もあるが、このツイートは2万回以上リツイートされ、「許せない」といった非難の声があいついだ。投稿者もガチャガチャの愛好家のようだが、「こんな事があるともう、どのガチャも引きたくなくなりました」と述べていた。

ガチャガチャは、複数の景品の中からランダムに選ばれた一つが手に入る仕組みだ。一般的に、店員が、ガチャガチャのマシンを開けて、特定のアイテムだけを顧客に選ばせた場合、何か犯罪になったりしないのだろうか。刑事事件にくわしい中島宏樹弁護士に聞いた。

●「ガチャガチャの本質を害する行為」

「ガチャガチャは、1回引くごとに、レア物も含めランダムに商品を取得できること、すなわち、『どのような商品が取得できるかは偶然に左右される』というところに本質があります」

中島弁護士はこのように述べる。

「通常、ガチャガチャを取り扱う店舗の従業員は、使用者に対して、顧客に景品をランダムに提供するように、ガチャガチャを運用・管理する義務を負っています。

それなのに、ガチャガチャのマシンを鍵で開け、景品の中身を全部出し、第三者である母親や子供に自分の望むアイテムだけを取得させる行為は、ガチャガチャの本質を害する行為です。

こうした行為は、ガチャガチャを適切に運用・管理する義務に反し、従業員に与えられた権限を越える行為と評価できるでしょう。

そのため、従業員は、業務上与えられた権限を越えて、自己が管理する景品を意のままに取り扱ったとして、業務上横領罪(刑法253条、10年以下の懲役)にあたる可能性があります」

自由に選ばせてもらった顧客がお金を払っていても、結論は変わらないのだろうか。

「その場合でも、ガチャガチャの本質を害する行為であることに変わりはありません。結論は変わらないと考えます」

中島弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

中島 宏樹
中島 宏樹(なかじま ひろき)弁護士 中島宏樹法律事務所
京都弁護士会所属。弁護士法人大江橋法律事務所、法テラス広島法律事務所、弁護士法人京阪藤和法律事務所京都事務所を経て、平成30年7月、中島宏樹法律事務所を開設。民暴・非弁取締委員会(委員長)、弁護士法23条照会審査室、日本弁護士連合会「貧困問題対策本部」委員。

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