澤井 康生 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私は早稲田大学出身ですが法学部でなく政治経済学部経済学科の出身であり、最初から弁護士になろうと思っていた訳ではありませんでした。当初はむしろ公務員になろうと思っており、卒業してからは国家公務員試験を受験し警察庁に入庁しました。
しかしそこで行っていた業務は法律の制定、改廃や、警察行政の企画立案などがメインであり、スケールは大きいものの目の前の仕事が実際に国のために役立っているのかを実感することができず、私は役人の仕事にやりがいを感じられませんでした。
そのため、実際に事件が起きている現場において法律を適用して事件を解決することができる弁護士の方に魅力を感じ、働きながら司法試験の勉強を行い、ようやく平成15年に司法試験に合格し、弁護士となりました。
印象に残っている事例
私が扱っている案件は交通事故が多く、その中の1つのケースがあげられます。交通事故の被害者の方の代理人を担当したのですが、その方はまだ20代の若さで四肢麻痺といって両腕両足が麻痺してしまい、いわゆる一生寝たきりの状態を余儀なくされていました。
私はその被害者の代理人となり、保険会社を被告とした数億円に上る損害賠償請求訴訟を提起しました。その際、被害者の方の家にいって事情聴取や実際の生活を見させていただいたのですが、ほとんど動けないため一日中ベッドの上の生活で、日常生活を介護する家族の方の苦労も大変なものでした。被害者本人、介護に尽力されているご家族の姿は誠に心が痛むものでした。
裁判は結局和解して妥当な額の賠償金を勝ち取りました。裁判では勝ったので私の弁護士としての仕事は達成したものの、被害者及びご家族としては賠償金をもらっても結局被害者は一生寝たきりで動けないことには変わりはないですから、どこかでやりきれない思いが残りました。
仕事の中で嬉しかったこと
抽象的ですが、依頼者の方に喜んでいただいた時です。例えば刑事事件において、身柄拘束を解いてほしいという依頼があり、保釈申請をして実際に保釈された時は本人及びご家族の方から大変喜んで頂けますし、そういった笑顔を見る事でそれを実感することができます。
それから民事事件においても、弁護士としてアドヴァイスすることによって依頼者の方がとても安心して精神的に楽になったと言ってもらえる時です。
弁護士になって大変だと感じること
1人で仕事をする事が多いということです。大きい事件については先輩弁護士数人と弁護団を組んでやるときもありますが、ほとんどの事件は自分1人で担当するため基本的には自分自身の判断で事件を処理します。
ですから、自分1人で判断しなければならない場面が多々あり、またそれが依頼者の方の運命を左右しかねないため、責任が大きいとともに重圧を感じます。
休日の過ごし方
外に出るのが好きです。妻と一緒に自転車で遠出し、自宅のある中央区から東京ディズニーランドまで行くこともあります。また、ジムで運動したり、異業種の交流会に参加する事もあります。これは、普通に弁護士として仕事のみしていると人間関係が限られてしまうので、特に異業種の方と交流するようにしています。
具体的には私は早稲田出身ですので早稲田のOB会である稲門会ですとか、ファイナンス研究科のMBAを取得した関係で国内MBAの交流会にも参加するようにしています。交流会では金融、マスコミ、官僚、医師などいろいろな方々とお話しする機会があるので非常に有意義です。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者の方に対して説明義務を尽くすということです。法律の用語はやはり言葉が難しく理解しづらいので、素人の方でもわかりやすいように説明し、納得してもらって手続きを進めるようにしています。
依頼者の方の中には私に任せるから好きなようにやってくれとおっしゃる方も居ますが、認識を共通にしておきたいため細かく説明して同意を得るようにしております。
依頼者に対して気を付けていること
依頼者の方を適宜コントロールするということです。弁護士は面談をして事情聴取してそれを書面にまとめますが、聴いているときに依頼者の方が必要のないことを延々と話されるときがあります。そのときにそれは必要のない事なので聞かれたことに答えて下さいと言いたくなるのですが、依頼者の方も一生懸命なのでそうとも言えません。
ですので、その不必要な話を上手く断ち切り、依頼者の方の気分を損ねないように上手く聞き出すようにしています。
関心のある分野
今も色々な分野の案件を持っていますが、個人的にこれから力を入れていきたいと思っているのは税法分野です。私は大学院に入ってファイナンスのMBAを取得し、税法を専門に勉強していたので、その知識を活かしたいと思っております。
今後のビジョン
単なる弁護士で終わりたくありません。付加価値を付けたいので、あまり弁護士の業務とは関係ない別の分野の勉強をしたいという思いがあります。
私が持つMBAは経営学修士ですので、本来は弁護士業務とはそれほど関係はありません。実際、弁護士でMBAを取得している人はほとんどいません。では何故MBAを取得したかと言うと、法律以外のビジネス面での知識、能力、感覚を身につけられるからです。
先ほど申し上げた交流会も様々な業種の方との人間関係を構築でき、知見を広めることができるというメリットがあるため参加しております。その他は現在、公認会計士試験の勉強もしています。
基本はあくまで弁護士ですが、経営学も分かる弁護士、会計の視点から見る事も出来る弁護士といったような、複眼的な視点を持つ弁護士になりたいと思います。