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「同性婚が認められていないのは人権侵害」同性愛者455人が日弁連に「救済」申立て
日弁連に人権救済申立をした牧村朝子さん(左)と田中昭全さん(中央)、川田有希さん(右)

「同性婚が認められていないのは人権侵害」同性愛者455人が日弁連に「救済」申立て

「同性婚が認められていないのは人権侵害だ」として、全国の同性愛者ら455人が7月7日、日本弁護士連合会に「人権救済の申し立て」を行った。当事者たちと同性婚人権救済弁護団のメンバーが同日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。

日本では「同性婚」が認められておらず、同性カップルは結婚した夫婦に比べると、相続や医療などさまざまな局面で不利益を被っている。申立は「同性カップルの結婚を認めないのことは、法の下の平等を定めた憲法14条違反だ」と訴えている。

●「これだけ多くの声が集まったのは初めて」

弁護団の森あい弁護士によると、申立人の居住地は42都道府県に及び、海外在住者も2人いる。年代は10代〜60代まで。申立に賛同する署名が1万1680筆、集まっているという。弁護団長の山下敏雅弁護士は「4月に申立人を募り始めたところ、大幅に予想を超えた数が、日本全国津々浦々から集まりました。同性愛者から、これだけ多くの生の声が集まったのは初めてでしょう」と話していた。

今年3月には渋谷区で同性パートナーシップ証明条例が成立。6月にはアメリカの連邦最高裁が「同性婚は人権だ」と認める判決を出すなど、同性婚をめぐる大きな動きが国内外で続いている。

このタイミングでの人権救済申立となったことについて、山下弁護士は次のように話した。

「LGBT支援法律家ネットワークを2007年に立ち上げて活動してきましたが、ここ数年で社会的関心が高まってきたので、今年1月に新年の抱負として『申立をやろう』ということになりました。渋谷やアメリカの動きを知っていたわけではなく、たまたま偶然ですが、裏返せば必然ということでしょう。日本の同性愛者が苦しみながら少しずつ歩み続けてきた。それが世界の動き、国内の動きと重なって、ちょうど今のタイミングになったのだろうと思っています」

●「いま一番欲しいのは同性婚」

記者会見には、申立人で、同性カップルの田中昭全さん(37)と川田有希さん(30)も臨んだ。田中さんは、人権救済を申し立てた理由を次のように述べた。

「僕らは8年間ずっと一緒に暮らしています。周りの友人・知人は、僕らがゲイカップルだということをみんな知っていて、受け入れてくれています。両親も受け入れてくれていて、お互いの親と一緒に、カフェでご飯を食べたりもしています。一昨年、2人の『終の棲家』として、築40年の家を買いました。2人だけの家を持てたことがうれしく、これからDIYで手直しをしながら暮らそうと思っています。

ただ、この家の名義は僕個人です。もし僕が交通事故で死んでしまったら、彼が相続できません。遺言書を公正証書にすることなど、いろいろ考えましたが、どれも完全ではなく、いま一番欲しいのは同性婚だと思うようになって、申立人になりました」

山下弁護士は「この申立が認められれば、総理大臣や国会などに対して、日弁連が文書を出すことになります。文書そのものに何らかの強制力があるわけではありませんが、理屈の面で弁護士たちが一生懸命検討した結果ということですから、今後、国会や地方自治体でこの問題が議論になる際、重要な資料になります。裁判を起こす際に『証拠』として裁判所に提出することもできます」と、人権救済申立の意義を強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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