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2018年05月28日 10時02分

「喫煙者は一切採用しない」こんな企業の方針は「差別」にあたらないのか?

「喫煙者は一切採用しない」こんな企業の方針は「差別」にあたらないのか?
愛煙家には世知辛いご時世だ(EKAKI/PIXTA)

「今後、喫煙者は一切採用しないことを決めました」。プログラミングの教育事業を手がけるIT企業の社長が4月下旬、ツイッターにこのような内容を投稿して話題になった。ネット上では「差別にあたるのでは?」といった声もあがっているが、はたして法的に問題はないのだろうか。

●「喫煙者を採用しない」理由は3つ

話題になったのは、IT企業「div」の真子就有社長の投稿だ。彼のツイッターやブログによると、喫煙者を一切採用しない理由は、(1)健康のリスク、(2)生産性の低下、(3)周囲への悪影響の面で、「会社にとって良いことが何もない」と思ったからだという。

真子社長は、健康のリスクについて、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙者の肺がんリスクも上がるからだとしたうえで、「本人の自由だからと放置せず、それが間違いなら勇気を持ってNOと伝えることが従業員に対する愛だと思う」とつづっている。

また、「実際に生産性が高いか低いかという議論以上に、非喫煙者から不満の声が上がることのほうが問題であり、生産性を落としていると考える」という。さらに、受動喫煙で他人の健康を害することや、洋服・口が臭く仲間やお客の気分を害することなどを「周囲への悪影響」としてあげている。

さらにブログ上で、「私としては健康かつ生産的に働ける人が増えて欲しいと思った」「他の企業の社長からも『うちも不採用にします!』とメッセージをもらえたので何かしら良い影響を与えられたんじゃないかと思っている」と述べている。

●原則、すでに働いている従業員に「不利益な措置」をとることは許されない

社会的にタバコに対する考え方が変わってきており、愛煙家には世知辛いご時世だが、はたして、喫煙者を一切採用しないのは、法的に問題ないのだろうか。労働問題にくわしい佐藤正知弁護士は、すでに採用されている従業員と今後の採用募集に分けて解説する。まず、すでに採用されている従業員からだ。

「ある居酒屋チェーン店の店長の労災認定をめぐる裁判では、次のような判断がされています。喫煙時間(タバコ休憩)であっても、何かあれば対応しなければならず、労働から完全に解放されていないのであれば、労働時間に含まれるというものです。

嫌煙家からすれば、不公平感もあるかもしれませんが、短時間であれば、集中力を維持するためにはリフレッシュも必要でしょう。仕事中にお茶を飲んだり、トイレに行ったりするのと同じです。ですので、すでに採用された従業員に対しては、節度が保たれ、他者に害を及ぼしていなければ、喫煙者であることを理由として、不利益な措置をとることは許されません。

一方で、最近話題の奈良県生駒市の方針は、許容範囲でしょう。『喫煙後45分間、エレベーターに乗ることを禁じる』という方針ですが、密閉された空間においてタバコの臭いなどで他者に迷惑を及ぼすことを防ぐためでしょうし、足に不自由がなければ、5階建ての庁舎で階段移動も困難でなさそうだからです」

●「喫煙者を一切採用しない」ことを禁止する法律はない

それでは、採用募集の局面で、喫煙者を一切採用しないというのは「差別」にあたらないのだろうか。

「採用募集の局面では、まったく状況が異なります。使用者には『採用の自由』が保障されているからです。例外的に、法律で明確に禁止されているのは、年齢制限、性別による差別、障がい者差別、労働組合差別など。しかし、喫煙者であることを理由として採用しないことを禁止する法律はありません。

もっとも、憲法は、法の下の平等を保障し、不合理な差別を禁止しており、不合理な差別は違法行為として損害賠償請求の根拠となりえますが、真子社長の掲げた喫煙者を採用しない理由からすれば、不合理とはいえないでしょう」

たとえば、「肥満の人は採用しない」といったことも可能なのだろうか。

「たしかに、単に外見を理由とするのであれば、不合理な差別にあたるでしょう。しかし、健康保持を理由とするのであれば、不合理とはいえないと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

佐藤 正知(さとう・まさとも)弁護士
神奈川県弁護士会所属。2017年度神奈川県弁護士会副会長。労働者側の労働事件を中心に取り扱う。日本労働弁護団常任幹事。神奈川過労死対策弁護団前事務局長。過労死等防止対策推進全国センター幹事。著書「会社で起きている事の7割は法律違反」(共著・朝日新聞出版)等。
事務所名:横浜法律事務所

この記事へのコメント

庶民 40代 男性

喫煙者がいるだけで灰皿などの備品にかかる経費や清掃代だけを考えても無駄なことばかりなので、採用しない方針は賛同出来ます。

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タツキ 20代 男性

たばこによる医療費は1兆4,900億で、そのうち受動喫煙によるものは3,200億ですし、サードハンドスモークのように非喫煙者からすれば被害しかないので、この方針は非常に良い対応だと思います。こういう企業が増えて欲しいです。
方針を公表しておけば、喫煙者も吸える会社を選べばいいだけですから。

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匿名ユーザー

喫煙者を採用しない企業は表向きは当たり障り無い理由を上げているが、本心は以下のような特性を持つ人を採りたくないということだと思う。

① 他人に対する配慮ができない
② 自律心が無い
③ 論理的な判断ができない
④ 情報収集能力に欠ける

そして、その判断は正しい。

アオスタ 男性 60代以上

私は吸わないが、私の大正生まれの父は超ヘビースモーカーだった。しかしながら、上記の4項目のどれにも該当しない人物だったよ。非常に社交的で友人がたくさんいたし、独立独歩でいつも組織から浮いてたし、帝国陸軍の中国戦線で情報将校をやっていた東大卒の秀才だった。タバコは、酒や麻薬の中毒患者と同じように、スモーカーはニコチン中毒になる。喫煙者は皆ニコチン中毒なので、医者と相談しながら禁煙をする必要がある。完全に社会からシャットアウトするやり方はいけません。人道に則った方法で対処すべきです。

ひろ 男性 60代以上

個人の自由も、尊重されますね、
趣味の域ではないかと思います
私は吸いません

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匿名ユーザー 40代 男性

個人的にタバコは吸わないし、むしろ煙いので嫌い。
が、こういう自分の都合の良いデータのみを盲信して色眼鏡でしか判断できない異常な嫌煙者達を見ると同類と思われたくない。

ヘビースモーカーなご長寿もいれば、酒タバコギャンブル一切やらない健康オタクの短命もいる。
一昔前何処か今でも脈々と続くマスコミ報道「犯人はアニメ・ゲームを所有してました」と同じレベル。
色んな要素があってのその人なのに「○○はタバコを吸った!○○は猛毒に侵された!」みたいな発想はトンデモ学でバカにされたゲーム脳そのもの。

嫌煙脳でいるのは個人の考え方だから仕方がないにしてもそれを人にさも当たり前のように押し付けようとするその短絡的精神構造が一番異常なのを自覚するべきだろう。


これを書かないと嫌煙脳はファビョってしまうので一般の人には全く必要のない断りを書くが、タバコが全くの無害なんて思ってないし、世の中に必要であるべきものだとは思わない。
が、「自分に必要がない・気に入らないから世の中から無くすべき」を正しいというのならば、自分はこの記事とそれらについたコメントが気に入らないし必要ないので記事ごとさっさと削除してください。

なんて戯言を当然受け入れてくれるのでしょう。
まぁ記事の内容は実際の法律に基づいた考えなので良いとしても、自身で書かれたコメントぐらいはしっかりお尻が拭けると思いますが。

最後に。
タバコは煙いし嫌い。でもそれを必要としてる人がいるのなら麻薬のような法規制の対象になってない以上はルールに則って吸うのは自由。勿論一部の愛煙家の人もルールが守れてないからこそ嫌煙脳が騒わぐわけでそこは猛省してほしいところだと思う。

匿名ユーザー

“ヘビースモーカーなご長寿もいれば、酒タバコギャンブル一切やらない健康オタクの短命もいる。”

あの、喫煙者と非喫煙者の健康寿命を比較した方がいいと思いますよ。

“色んな要素があってのその人なのに「○○はタバコを吸った!○○は猛毒に侵された!」みたいな発想はトンデモ学でバカにされたゲーム脳そのもの。”

交絡因子ってご存知ですか?この発言って科学を信頼していない発言だと思います。
所謂、トンデモ学を自分で仰っていますよ。

あと、何故か「嫌煙脳」、「短絡的精神構造」、「ファビョってしまう」等書かれていますが大丈夫ですか?
ご自身の方がファビョってませんか?落ち着いた方がいいですよ。
記事とコメントが気に入らないから削除して欲しいってよっぽどですよ。

inapa 男性 50代

もっともな話だわ
筋は通ってる

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